別れ際 窓際君は 何を見る 君の心に 僕はいるのか
5
「ここにいる」って叫んでも届かない 君の瞳はあの子のもので
3
水茄子を まだ食べ慣れぬ こうべっこ よく見りゃ地元にも売っていたっけ
4
毎土曜 あのエンディングを聴くたびに 闇がつつかれ ざわっとするよ
1
憧れるは現代美術 誰もが私をなんとなく理解してほしい
1
ポロシャツに心臓の孤を描く 人を変えるより自分変える方がラク
1
次のとこ 猫の引越し が布団 ひと足先に 夏が終わった
7
初心者の 私の短歌うたに 「いいね」をくれる 顔も知らない あなたに感謝
10
少しだけ秋風感じる夕暮れは二百十日の翌日のこと
8
水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
4
手が止まる 終わらぬ課題に 目を瞑る 過去を恨む 斜陽差す
2
桐の花箔押しにふちどらるるに静謐馬耳東風なりき東風こち吹く
2
バスタブに形うしなうほど溶けて満たされてるはお湯だけでなく
25
クーラーとアイスコーヒーに冷えた身が 御前ごぜんの彼への気持ちも覚ます
6
チェルノブイリ。苦艾のみづ忘れ水流されはじむひとのこころも
1
こどもには色も香りも宝石のドロップ一つ缶振って出す
11
フロンティア またやりますから 観てみてね 最後泣けます Δも泣いた
1
魂の容れ物深く眠ってた 長かった、でもようやくここまで
8
キジトラとキジシロきょうだい 珍しくはないのだけれど うちの子いちばん(みんなそう)
9
オノマトペ 朗読しつつ身につける 母国語は奥深きかな
10
俺の子は いない。誰かの 子は産まれ 妬み、嫉妬で 人間失格
7
叶わずの恋 思い出の 道に立つ もいちど君の 風になりたい
4
君だって泣きそうだった足元に遺骨のようなカップの破片
9
LINEにも心ふるわす糸があり君は見えずも伝わるなにか
16
汗染みがすべてを覆うトレーナー すっかり九月も夏の季語です
3
朝風の吹き込む家庭裁判所 昨夜の風は 昨夜の風だ
3
夏のせいなんかではなく本当に 私はあなたのことが好きです
3
卓上のパキア 葉脈をじっと見つめてごめんよ あと5分だけ
1
禾すなはち登るが一銭五厘耐え難きを耐え忍び難きを
1
「女の子らしくなさいね」カーテンのレースをなぞる手指は無骨
3