子どもから大人までもが口ずさむ 流行りの歌が今はもうない
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はっきりと自分の意思で生きている ひとは何人いるのだろうか
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義母かあ様は 毒の林檎を 差しむけた 鏡を割れば すむことなのに
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母のカーデ 羽織ってゴミ捨てサンダルで クロワッサンの淡い半月
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満開を誇るあじさい どうしたの つぼみもなくて雨に泣いてる
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夢も見ぬ深い眠りであったらし 寝た気がしない それもどうなの
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外国人 日本のものを 褒めるたび 格あがるっつうか そんな風潮
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40歳の知的障害いい子です撮りまくっては写真を義母に
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義母さんヘスマホで撮ってプリントし手紙を書いているラブレター
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二杯目の紅茶を冷まし飲むだけの意味のなき有意義な夜ふかし
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フルサイズでの生歌唱愛の歌逢いたい人は指切りの人
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アンニュイな 君と二人で ありふれた 恋がしたいと ふと思うとき
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日雇いの約束なのか罰なのか分からずにまた蛇口をひねる
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涼し気な顔のあなたはもう既に結構酔ってる 僕だけ知ってる
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科学者の巨人の肩に乗るならば 踏まれた犠牲ものを知りて敬へ
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サプライズ タテジマ姿 甲子園こうしえん 入団当時 にゅうだんとうじ の63ろくじゅうさん
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嘘つきは良くないけれど直球で「不細工ですね」は嘘ついて良い
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熱いうち鉄を打っても冷やさなきゃ使えないまま終わってしまうよ
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蟻を潰した 沢山潰した その日の昼に 祖父の 死の知らせを受ける
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恋愛が昔ばなしになったとき美談に出来る別れにしたい
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別れには鈍感ぐらいが楽でいい見せないものは見ないに限る
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さみしいと枯れてしまう花だから「愛してる」とか言ってほしいの
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すぐそこに水無月の待つこの日頃気もち沈めてリラ冷え続く
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それはもう、世界の色が変わるほど晴々とした善いウソでした
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二つまでしか同時に考えられないと僕がこぼす君の目が笑う
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もがいても足掻いてもなお逃げられぬ光の裏の影へ沈んで
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私のこころを貫いたのは貴方でしょう?刺したのなら抜かないで
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サラピンのシルクのパジャマ抱き心地良くなったことキミは知らない
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うっすらと透けて見えたる人間味 貴方の中に宿った命
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天球にはりつけにされ星々は昼夜も四季も凍てついたまま
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