ねこの飲むミルクの表面 波打って ちゃぷちゃぷちゃぷん 小さなさざ波
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昨夜キャベツ残っているのを忘れてて 卵、マヨ、ご飯、の使いきりチャーハン
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午後診の窓 日没が早まるを 励ましに代え もうひと頑張り
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八月が終われど 暑さは去らぬまま 皮膚科の長い夏は続く
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やれやれと持病有る身で夏を越し観測史上最も暑きを
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緑とか 日とか君とか 真夏って なんであんなに あざやかなんだ
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クレームでアドレナリンが出まくりで覚醒中は腹が減らない
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ピースして上下スイッチ同時押ししてる自分に気づく、これ癖?
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標識の白い支柱に巻き付いたもう咲かぬ朝顔ヘビの如く
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泣きじゃくり地球滅亡する如くお菓子売り場でひっくり返る子
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寝癖あり アホ毛に思わず 勉強せい なんのことやら キョトンと孫
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君想う 心はまるで オリゴ糖 甘く澄んでる 哀しい程に
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ざわめきが訪れてなお楽章にひびきつづける通奏低音
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白き乳流る無花果剥きながら消失せし我が右胸を視る
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人知れず大気はうごき閉ざされた原野のかたち確かめてゆく
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町じゅうに朝を杭打つようにして配達員が新聞をさす
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出迎えてくれると分かる犬の待つ帰路は一等星のあかるさ
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クスサンが 大量発生 夢のあと 得体のしれぬ イライラのよに
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一年の半分、夏の暑さなり、半袖の服、増えてため息
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水色の雲でおひるねをするのだ 死刑制度がないこの街で
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夜明け前 日の境目を知りたくて始発に乗りこむカメラを提げて
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ゴハンやり さみしくなったらおいで、と戻る 3分後には「ニャーン」と登場
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ねこたちは 昼間寝こけて 明け方走る 運動会が開催される
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眠れない思いの河に網投げて恋しい人を捕まえましょう
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ああ 写真を探していたよ 君の声が聞こえそうな 幸せだったころ
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心って すり減るんだね 目の前の 事象に追われ 考えることなし
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殺伐と 毎日が過ぎ もう9月 人材不足 いつまで続く
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休みなく 働いていて 言葉出ず ただ意味もない 愛想笑いか
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もう君が 俺をみること ないならば それでもいいさ 見守ってるから。
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愛用の絵筆の持ち手がぽっきりと折れたような終わり際だった
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