うっすらと透けて見えたる人間味 貴方の中に宿った命
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天球にはりつけにされ星々は昼夜も四季も凍てついたまま
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0と1だけの電子の世界では「i」の言葉も2進数となる
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磯の風 遠くで死んだ 生きものの 臭みをのせて 初夏の千代田区
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ころころと色を変えゆく君も今は静か 空も 夜は眠るのかしら
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バスタイム今日の疲れをOFFにする Utakataのぞき湯船に揺れる
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忘れずに甘いだけでは済まないの油断させその時はトドメを
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眺めれば全ての場面が宝物 写真の整理は今日も進まず
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新たなる 趣味を見つけて ハマりだし 短歌を創作つくり スマホにしまう 
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変わらないね すっかり変わった君は言う 小さくなった カントリーマアム
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形見分け ほころび気づく その夜に 「直し屋」のチラシ 祖父のお告げか
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口論の 最中さなかでふたり 見つめあう アディショナルタイムはいらないよ
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ゲーム機の スイッチ入れるの腰重い なんとか押したい やる気スイッチ
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ルランララ はずむ足取り 古書店に まさかの閉店 ラランラル 
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うつくしいものが好きだ うつくしいで溢れている世界も好きだ 己が 異物のように思えて
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わさわさとイタリアンパセリに似たようなマイクロいちごを新居に移す
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苺って種で育てた事が無い蒔いて葉が出て縁起いいかな
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百均で選んで欲しいと投げかける誘惑の中決めかねている
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結った髪おろして ゆっくり献杯だ 長女猫あのこのお名前「けいにゃん」と呼ぶ
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日常の言葉をためておけぬから 文字を吐き出す摂字障害
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ツイッター廃人のごとく打つ我を スマホと共に海に捨てたい
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合意困難自民の立場悪化するように課長になったら独り
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星屑を煮詰めて作るジャムの味 くちびるの端ちょっとキラキラ
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葛藤の妻は夫が性加害事件なければいい人なんで
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食べ過ぎて太り過ぎたるカオナシに 何も持たない自分がうつり
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手を振って「おもしろかった」と言われたら足取り軽くビギナーズラック
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三冊目子らの合いの手増えてきて始業のベルでスピード早め
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八年間慣れ親しんだ声色で十一匹のねことウヒアハ
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「おじさんは力あるから」ウケ狙いまずは掴みのどデカい絵本
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千にだけやることにしたと彼は言う もらった分だけあげたらいいよ
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