日常の言葉をためておけぬから 文字を吐き出す摂字障害
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ツイッター廃人のごとく打つ我を スマホと共に海に捨てたい
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合意困難自民の立場悪化するように課長になったら独り
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星屑を煮詰めて作るジャムの味 くちびるの端ちょっとキラキラ
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葛藤の妻は夫が性加害事件なければいい人なんで
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食べ過ぎて太り過ぎたるカオナシに 何も持たない自分がうつり
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手を振って「おもしろかった」と言われたら足取り軽くビギナーズラック
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三冊目子らの合いの手増えてきて始業のベルでスピード早め
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八年間慣れ親しんだ声色で十一匹のねことウヒアハ
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「おじさんは力あるから」ウケ狙いまずは掴みのどデカい絵本
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千にだけやることにしたと彼は言う もらった分だけあげたらいいよ
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読み聞かせデビュー一年一組で倅ふたりの間に届け
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愛なのか恋なのかすらもう忘れ カバンの中のチョコだ我らは
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「私の手、生命線がぶつ切りで」 言った途端に爆笑の君
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雨後だとは 思えぬほどの バカ晴れに また全身で 息をしている
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今君の 肩を抱くのは 誰だろう 誰でもいいか 僕じゃないなら
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涼風を気持ちよさそに浴びながら 鼻を鳴らして豚運ばれる
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「癒されます」その一言で頑張れる 今日も歩くよ老犬と私
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山際に沈む夕日に気が焦る トロッコ追った子供の如く
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今くるよさん死去寂し好きだったテレビ観るたび初恋をした
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クラムボンやまなし浮かぶ光景を プールの底で思い出したる
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依然とし深い憂慮の報告と旧ジャニみたい妻が怒って
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屍になりし十年蹴飛ばして ちゃんみな歌うそれでいいのと
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短歌ならいいねもリプもいらないの 三十一字歌いたいだけ
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白昼に片割れ月は抱き合って そして二人は泡沫へ還る
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泡沫に飛沫は跳ねて夢魚。鱗、白昼煌めき消えゆ
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山荷の葉 露濡れた日の幽きも隣にいたこと薫りにて覚る
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去る春は 落ちた花弁ひとつにも君想う声 撫でて愛しみ
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星に咲く花の薄紅よ 世に万葉の色 咲けども君求め出づ
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夜風が波打ち際で洗った水面掴んで淡く月の色
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