すぐ飽きる打ち上げ花火 初めから線香花火だけをやる夏
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雨の後いっせいに泣き出すセミは それが当然だったかのよう
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マンションの最上階の部屋の窓どんな時間も私が映る
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本当の自分を映す 八咫鏡やたかがみ 風呂場で今日も 酷にたたずむ
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お盆過ぎ涼風の吹く夕暮れは幻になる北国の夏
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誉れある名誉戴く彼の者は 人馬一体深めし絆
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ただいまと帰ればおかえりのキスする 猫の鼻はいつも濡れてる
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保育料値上げを受けて会議をしパピコを割って金打きんちょうとする
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カップラのわかめがどうも足りなくて わかめスープでマシマシにする
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囲い込み襲っては食う極悪非道物の怪の園
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運命を狂わせるほどの熱情を恋と呼ぶならこれが初恋
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ねこの頭 撫でるとシルクの手触りで ねこもうれしい 母も嬉しい
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後になり先になりして漕ぐペダル魚付林まで老いの休日
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怪獣かワニの姿でパワー秘め苦いゴーヤがカッコ良すぎる
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怨みこそ 転ずるすべは 無かりしか 燃やせ煩悩 知慧の火灯せ
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杖をつき 買い物してる おじいちゃん マイバッグのミッフィ従えて
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公園の階段 一気に昇りきり 平気なふりして 息整える
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ハワイ貯金 8月さいごの一枚を 貯金箱入れずに募金箱探そか
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お皿の上 りんごと梨が共演だ やはり旬なので梨に一票
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一日の布巾ふきん干す手に明るくて少し大きなもう秋の月
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半世紀 祈り続けて 勝利あり 手元に残る 二十三冊
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怨みこそ 人を動かす 力あり 世界動乱 そこに見えるか
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汚染水 今こそ対話 チャンスかと 災い転じて 福となさんか
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「ひとりで行く」 祖母との約束 背負いつつ 黄色い帽子は 歩道をわたる
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淡色で 描く川舟 白壁に 水彩の秋 熱帯夜に飾る
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ならびたる山の端 えす日輪にちりんの はふれし影の田面たのも たたふる
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あの人も隣の人も私もまた  虚無を引連れくらしを紡ぐ
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今日もまた通勤電車に揺れながら 音に踊って、文字で遊んで
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世の中の何パーセントが君のこと気づいているのか数えてみようか
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じゃあまたね、さよならなんて言わないで。 永遠なんて嘘で騙して
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