はなれはなれ
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投稿数
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どうしてもひとつのこらずキスしたい アナタのシワのタバコ臭さと
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ばかンなる、私ン中、頭ン中、貴方を好きだ、と藻掻いてゐる
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知らないアナタの目尻のシワに知るトシの香りとタバコの匂い
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木漏れ日と さえずりと 風吹く音と 受け容れられていると感じる
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呼吸して。横のベンチのおじさんがページをめくる音に合わせて
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知らないじいさんと並んで木漏れ日ベンチ どようび午後さんじはん
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行きがけに見かけた男女ふたり組がまだキャッチボールをしている
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世界から仲間はずれにされているような、休日の十五時半よ
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内蔵のひとつも剥がれていないのに透明の血を流している
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まっくらな世界の中に一筋の光差し込む「転」が足りない
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母からの愛も期待も心配も 叶えてあげる義務などないよ
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あのね あたし、あなたがだいじ、なんです 生きているのがうれしいんです
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夢にみたやわいことばはありました、知らなかった二番のサビに
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広くて完成された町の中 わたし以外誰も居ないゆめ
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そばにいてなにもしないしねむくなる ただそういう、あたしのともだち
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あーあって仰いだ天に星がいた。思ったよりもめっちゃいたのよ。
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恒久の宇宙の永遠とわの地球ほしの無限の生命いのちの個体の私
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生きているあたしのぜんぶに蔓延るあんたの愛と逮捕歴とよ
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独房の施設見学、教室の机みたいとは言えなかった
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電光の情報システムが空白を流す貸切のバス停
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そこはだめ、近付かないであなたでも いっとうやわらかいところです
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あさの四時、知らないバンドを聴くキミ、肌寒い風、鼻の違和感
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わたしからあなたへ向けるほほえみ 御前へ向ける筋肉の動き
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音漏れの環境音の中に知る 聴いたことないセミの鳴き声
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読みさしの本も、涙も、宿題も、ぜーんぶ見ないふりでねむるの、
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愛して も抱き締めてよ も助けて も言えないからあたし、こんななの
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都合ゐゝ無機質として使はれることを愛とは呼ばないのだよ
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生きていく、このままずっと。って予感 たぶんあたしはひとりのままで
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空降りて山降りて森降りて 風 われの足首撫でてをりたり
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お天道様「加算[発光]」の出ずる 富士「比較[喑]」のかかとあたり
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