手のしび れ膝の痛みは高齢の誰にでもある君だけでない
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水無月もスペシャルブレンド買いもとめミルに掛ければ黒南風くろはえの吹く
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燕たち みな巣立ちして からとなり 夏の空へと 羽ばたいてゆけ
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文字の波寄せては散って繰り返し クロスワードの三十一みそひと文字は
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おとなひしドーム薄暮はくぼに影となり 人類ひとはなぜ学ばぬのかと問ふ /ヒロシマ
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里帰り おとないくれし級友ともたちと角の取れたる語らいやまず
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雪残るポロシリを背に広がりぬ時田農場哥の種芽吹く
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近所の子だんだん敬語を使い出し 成長見るも淋しさ覚える
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日が暮れて くしゃみ一つで思い知る まだ本当の夏は来てない
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好き嫌い嫌い嫌いと言ったとて どうせ明日には枯れているのに
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生け花をしないと出られぬ部屋ならば 私は迷わず向日葵を挿す
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夕闇の 𠮷野まちもとどろに 夢を見た あの日の少年 今も胸の中
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恋人と別れたのちの朝方の空にでっかく「HELLO WORLD!」
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靴を履くまで忘れていたけれど 鏡に映ったパジャマの私
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最終日 御破算で願いましては裸足で飛び込む春の先へと
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延長を 制せなかった青春を 深く染ませて 明日は笑顔に
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三月で廃止となった路線バス まだバス通りとみんな呼んでる
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窓の外赤い点灯曖昧にカラのバスタブ愛のまにまに
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信頼を置いてないから小銭入れ折り畳まれた札束のなか
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「こんにちは」 第一声は それだっけ? もう忘れたや まあもう要らんか
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肉体へ、体調不良を理由なく発生させるのやめてくれないか
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ドーナツ 穴があるから ドーナツ 穴を穴だけ 切り取れないから
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あの当時背負ってるもの見もせずにきつく叱った我を赦せよ
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名美なぐはしき 菓銘くわめいをおほせし上生菓子ねりきりの 山水花鳥さんすいくわてう菓匠たくみねり
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バギー押すママと赤ちゃんおしゃべりが途切れず続く 一生続け
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本屋には 紙の頁を めくりつつ 相性探る 楽しみがあり
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瞳の奥から感じたのもう少し動かずここにとどまりたいと
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梅雨入り前 頂き物の幻の梅 食べてちょっぴり元気を出そう
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靑梅あをむめの 黃蘗きはだとなりてわづかなる をはなち梅子黃むめのみきばむ
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志野茶碗 銘卯花墻 国宝秀逸 片桐石州
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