お前にもおれにも星はただ遠く 何もする気の起きない夜だ
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夏になり脱ぎ捨てるものあるかしら老いた身体は裸になれない
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本当におれを大事と思うなら 何も告げずにただ去ってくれ
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夜に身を沈めてもなお透明の夜を飾れる田中の鉄塔
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ささやかな幸せちょっとした不安それこそがこの世界の全て
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厚ぼったい闇を染ませた雲裂けて銀で仕上げた月までの距離
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鈴ならば玲瓏と鳴りいださまし風にゆらるるヂギタリスのはな
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ひきこもり慣れた道のみ往く日頃たまの遠出の緑に夏知る
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事故渋滞好奇と鬱憤込めた目が一時遅らす速度回復
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なじみなき香りまとへるをとめごの日々とほざかるはつなつの距離
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人間の心なんかは単純だなんてのたまう本が嫌いだ
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空間のすべてを私が握るときそれは世界をつくる前触れ
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問いましょう貴方の価値を示しなさい十字以内で簡潔に書け
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大層な不幸自慢に苛まれ「自分なんか」を羨む日常
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大切に思っていたのは我だけか 十年の信頼するりと彼方へ
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いつからか君が自分を呼ぶときに「僕」から「私」へ変わった不思議
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人型のため息達が釜の中 「次は叫喚 出口は左」
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努力してたけど失敗して泣いた君は確かに輝いていた
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引つ詰めた 髪にスーツに 黒鞄 隠したきこと  額になきか
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赤いひとと 碧いひとの 臨終を  指折り数ふる 横断信号
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君の吐く分別不可の戯言は燃えないゴミに出しちゃいました
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いつだって君の頭を覗いたらどんな風かと興味津々
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日本酒に振り絞るライム、切れ味の鋭い神風 冷たさを知る
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‪あの人と同じ肌荒れ手で触る 確認したの手元の銘柄‬
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咲きみちてさつきの庭の昼しづかゆめよりかろき蝶のかげさす
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北極星 視えぬ君の 指し示す  織姫星の その明るさよ
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ぱりぱりと 砕ける道の干しみみず 踏まれ、命は靴に吸い付く
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愛してる 全てを壊すこの言葉 必死に飲み込む薬と共に
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ありさんの長い行列踏み潰し明日は雨だと笑う子供よ
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あわてんぼ あわてちゃダメと思うからこそあわてちゃう あわ あわ あわわ
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