しおはま    フォロー 75 フォロワー 55 投稿数 214

初めて詠みます。よろしくおねがいします。

白布で覆い隠した真実がくちびるからあふれる料理店 

人間も消費期限があるらしい暑すぎる夜に朽ちるアボカド 

熱気・悲鳴・諦めた世界・ヒステリー すべてリアルできみだけ虚構 

「強いて例えるんだったらヤムチャかな」恋の終わりはこんなに近い 

遮断器で区切られている十五分過ぎる表裏をふたりで見てた 

満月を卵液に浸し焼いていく職人住まう真夜中キネマ 

傷がつきやすくなってきておりますやわらかい布で拭いてください 

詩情さえ置き去りにして消えるなら代わりにぼくが李徴となろう 

AIが奪いに来ればこんなことしなくていいと言い聞かせてる 

ひとつきに一度読みたい本がある二度と会えなくなる人もいる 

駅前の広場を満たす音声は選挙でしょうかいいえ母です 

すき焼きにうどんを入れるあいだだけ世界人類みんなで祈る 

歯が抜けたベンチが駅前で朽ちる急行は止まらずに過ぎ去る 

青インクこぼせしベッドの天蓋のロールシャッハは愛を語りぬ 

こんなにも乱されたのに涙すら出ない潮騒を聞きつづける 

心労のしんしんと降る十一時濡れた寝床ですこしだけ伏す 

まっすぐにケーキを切れたあなたなら海もまっすぐ渡ってゆける 

次こそはあしたこそはと言うたびに無限に増えるあかいふうせん 

若かりし頃と呼ぶなら呼べばいい空を飛びたいなら飛べばいい 

限りなく眠りに近いそれを捨てどうしてぼくはここにいるのか 

林檎飴に紅を灯したあの夜の縁日の終わり見つけられずに 

コンビニのスプーンたちは微睡んでたった一度のくちづけを乞う 

善という字の横棒を数えあげ組み直すだけの悪のお仕事 

口元が見えないままのおわかれが許せなかったソーシャルな距離 

ここにいる理由がわからない夜にしずかにそっとひらいたまぶた 

レイドボス発生時のみ路地裏で会えるさくらの帽子の君よ 

五メートル先の背中を追いながらもう繋がない右手を握る 

海中のごとき青さの中をゆくおれは日暮里・舎人ライナー 

「死の開花信号受信しました」と答えてさくらはじめてひらく 

空白になる焼け落ちる金閣を見上げる焦げたまぶたをひらく