僕はもう 君がいなくとも歌えるよ 少しもさみしくなんかないさ
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慎重に和菓子を選ぶかのように 君に贈った三十一文字
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良い映画を観た後に何をしたらいいかわからない
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夜明けまで堕ちる速さで駆けてゆく残響ばかりはせめて優しく
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明日には貴女へ逢える金曜の待ち焦がれるよな立待月の夜
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生まれ日やまた一つ歳を累計す私の若さの減価償却
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平行やねじれではなく垂直に君を想って数学の授業
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紅々あかあかと桜紅葉に秋が夢見るかの如く春想ふかな
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なんのためにわたしといるの なんのために犬を飼ったの おい こたえろよ
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言われたとおりに笑って 言われなくなったら 散るしかない春がくる
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伝へばや 溢る涙 南風はえ乗せて 君が心に いか届かなむ
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痛いと言いたい態度問いたい遺体いた いただいた糸タイトホワイト
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我々の地上食には手がかかり未だサバ缶をどれも越せない
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「何もかも身体があるから悪い」溝が現れ跨ぐしかない
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廊下からレンジ前へと移動するヘソ天前線冬を告げる
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さようなら 逆算からなる いまさようなら
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流行り歌口ずさみながら歩く君バニラスカイの専属モデル
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向日葵は枯れてしまった雨の後きっと君から言うね さよなら
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うろこぐも受けきれない太陽 ひ のひかりは気を付けないとくしゃみの原因もと
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ここはあなたの夢の果て 非常ベルまでもこんなに優しい音で
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感情の七号線の渋滞をばら撒き散らした赤をください
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もう君に手紙を送ることもない 海のシールが空を彷徨う
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歌によせ鉢花ひとつ幸福の覚めては蜜の残り香よすが
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土曜日の午後のカーナビどこまでも赤い点滅消えないシグナル
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全て一秒を永遠とわと偽るため飛ぶ鳥は墜ちよ叫びは潰えよ
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十月の冷凍庫にもし入れるならスムーズにトーク出来た日の僕
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液晶の画面が暗くなるにつれ見えてくるだろ自分の顔が
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オレンジの月待ち人の来ぬままに もう三日もオレンジのまま
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応酬の向かいの列車に惹き込まれ身体はレールの循環の上
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所詮肉 所詮水分とタンパク質 砂山の上で起きてる茶番
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