湯を沸かす雑じり気のない透明に透かさずそっと色を一差し
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白は「色」染まらない白を愛して ただ真っ白であるだけの価値
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ニケツして漕ぐチャリ午後五時河川沿い橋の上から見ていた一人
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地方と都市境目は今薄れてくゴジラが行き先決めあぐねてる
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もう顔も忘れてしまったあの人の纏った香りで話しかける君
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唇をすぼめて生命いのちを吸い込んで舌をくすぐる光の粒子
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「死ねば無だ」「滅んだら無だ」まあそれはそうなんだけど明日も仕事だ
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雀たちに起こされ見つめた冬の空微睡む私に青見せつける
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「体調はどうか」と電話しながらに身体ぶるっと震えて寂し
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窓ガラス額つけつつため息で始発のバスは我ために発つ
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いつまでも既読にならない「またいつか」消してしまう勇気はないから
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あしたこそ未来の私に期待過多 きっとできるよ任せておくね
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あかぼしの明くバルコニーを包むような真紅は二人に限られていた
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あのひとが 私の歳を越えたとき そばで笑っている花であれ
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“愛”なんて “永遠”なんて “夢”なんて 嘘か誠か 夢か現か
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『これ以上だれも私に触れないで』境界線としての黒髪
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元々は ネタで始めた ダイエット いつの間にか175センチ 本気になった55キロ
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重石にはならぬが酷く冷ややかな死にたい気持ちも抱いて生きてく
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コメダで オーダーしたいの 色々で 詰まるところは いつものコーヒー
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人の目を 見るのが怖い 君の眼を 見る僕の目は たぶん泳いでる
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この谷は深く深く 峠の前の 神かがったような空気
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そのからだにめぐるコーラと悲しみが 炭酸の痛みで私もわかる
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なずみゆく無花果色の夕の空ただそれだけの十月オクトーバーのそら
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トッピング長々伝え「それ2つ」何とかチーノを君と飲む午后
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究極の真理に震えた後の手で葱と生姜とにんにくを切る
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冷蔵庫の永久凍土になりそうなピーナッツバターと君を待ってる
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産めるのに産まない人も産みたいが産めない人もいる 生きたいよ
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さみしさを埋められなくてまたひとつ積み木の城が崩れてゆくの
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新婚の君に幸あれ心より『You Raise Me Up』を歌う
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「声が好き」十年前も言ってたね私の魅力はそれだけですか
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