お天気に二度寝始めるあごひげの ざらざら触るのもう飽きちゃったよ
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白い肌ゆでてむいたらその中に何色をしたたましいがある
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大陸のどこかのまちの工場で異国の紙にゼロを書くきみ
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星五つ★★★★★下さいますか」の「五」の上で"0"の手書きが主張している
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こうもりを 横に提げたる をとこらの 膝を突きたし 微雨なるあした
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見晴らしのいい丘ならばゆるされる鏡も見ずに前髪を切る
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「襟足は刈ってください」  四月の陽 木香薔薇咲き 香り滴る
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追憶の 山の霞は 山法師  それとも只の 葉のきらめきか
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人疎ふ 心にあれど  君慕ふ 心理は如何に 分析さるる
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折り箱にりんごのうさぎうずくまる今日が雪なら逃がしてあげた
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あの光冥王星から来たんだよ硝子細工のペンギンを指す
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我が時を 止めたる思い 強く抱き 天(そら)に放るは 花水木かな
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星々のまたたきさらう波の音今日は砂山くずすのやめた
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春の夜 短歌初めてみたけれど思い浮かばずモヤモヤ残る
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夜半過ぎてほうれん草をゆがきつつやわらかくなるささった棘が
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「お話がありますお時間いいですか」上司の反応クソ悪かった
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笑わなきゃ 酸いも甘いも飲み込んで残った苦味を噛み締めている
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春が来て埼京線を止めるだろうもしカリスマに生まれたならば
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謎解きの長き旅終え半世紀 辿り着きたるとき九回裏
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妄想を孟宗竹に掛けてみる酒落にならずに尺八を吹く
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髪姿生き方来し方違えども同い年なりショーケン逝く
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ほのかにも吹く風にこそかをりけれ暮れゆく春の茉莉花のはな
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ありふれた台詞じゃなくて手づくりのいちごまみれのドーナツあげる
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「新しい職場いい人ばかりです。あ!前が悪いって事じゃなくて!」
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「どうしたの? 友達じゃん」って撫でられて そんな名前は欲しくなかった
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劇的な出会いは決して多くない、気づかないだけ多分それだけ
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東京は風の香りがしないなどと言う母の背はまるで小さい
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ハーモニカ吹けば吹くほど下手くそになる気がするね跳ねるかわせみ
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すきとおる指先にまた蝶々が羽根を落としてふらふらと飛ぶ
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生活の一部のように花を買いひとりで歩けるきみがきらいだ
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