Utakata
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Lime
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主に二つの海を行き来してます
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「落ち着け」と気軽に言うが それだけでできたら 何の苦労もねえよ
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濡るるごと深くなりける
早緑
(
さみどり
)
に縁どられゐし役所の灯
4
鬢
(
びん
)
掻けば生の証左が舞い落つる床にて
処方箋
(
くすり
)
のききめを祈り
10
ポロネーズ第六番の律動は波蘭の舞踊と言ひし母かな
9
麋角羊歯
(
ビカクシダ
)
水とひかりでこと足りし たふとさおぼゆ 丑三つの刻
4
女生徒のソックス 秘密を漏らさじと しめやかに踏む 図書館の床
7
地下鉄に駆ける人々訝るは 都会気取りの慢心なのか
2
玄関に合羽さげたる家あかり
縊
(
くび
)
りしひとかと 驚かれぬる
7
水たまり よどむ灯の矮星に 雨の
光子
(
フォトン
)
が われさきに逝く
4
ハライドのひかりに眩し
jacarandá
(
ハカランダ
)
小二のころの
初心
(
うぶ
)
なむらさき
4
正直に手を挙げなさい あまふりの脈を感じるフェチな野郎は
3
ピアソラの
鼓動
(
リズム
)
を 胸にとゞめつゝ 感傷に天使逝きたまふなり
5
駅ホーム監視カメラのいずれにも 自分の顔は映し出されず
5
心臓の悪魔の鏡を取り出せず これが大人ということにする
4
書留のせいにしちゃってファサードを描く足音立春を過ぎ
5
傘ささで 髪に積もったぼた雪を 融くに任せて 夜をゆく
女
(
ひと
)
7
どちらかが風除けになる偏りがあっても並ぶ木々になりたい
5
早すぎも遅すぎも駄目 アセトアルデヒドただ酔う頃合いがイイ
4
重心を あらゆる場所に 置けなくて 薄い氷の 廊下は翳る
5
夢オチの
銃撃
(
ショット
)
は夢精の
隠喩
(
メタファ
)
かな ・・・性癖あげく、
漱石枕流
(
むりなこじつけ
)
。
4
さんざめく 雲の波間に月出でて 貝の光が 街に降り立ち
8
酔い歩く人等避けつつ ポケットのハンドタオルに その手を包み
3
センチなJ-POPみたいに
One more chance
(
いつだって
)
, 探してる い◯ばのタイカレー
2
吾のみが不在でみんなのさいわいを 遠望すべし
L’isle joyeuse
(
喜びの島
)
4
塗炭の夜 火燈す舟の行き交いに 寝ぼけ
眼
(
まなこ
)
の月が沈みぬ
4
独りゆゑ サイレンの音耳痛し 曇るコツプに 満たす生水
9
落日に群青色の大いなる虚ろ目掛けて凧が舞いをり
5
思い出す、今でも 会いたかった 会いたかった 愛痛かった YES
3
古びたしおりを除け 林達夫の
随筆
(
essay
)
を読む 嘆息しつつ
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暮れ方の風に 焚きしむ抹香と 勤しむ人のかげすがたかな
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