透過する視線の後ろで笑うきみ毛細血管凸レンズ
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なんでやの思うことは多々あるが雨後の晴天に投げて忘れよっ
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片道の切符を胸に強く抱きこのを歩く迷いながらも
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自分だけ何も知らずに生きているそんな毎日だった気がする
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天と地をそっとつないだかすがいは夜の駅舎を浸す雨漏り
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英雄が紡いだ言葉を口癖にしても心に響いてこない
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スパゲッティゆでじるしおぎて 塩辛しおからいねとわらってべる
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エリックと名付なづけたきみ夜光虫やこうちゅう あおかがや世界せかいえる
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水平線すいへいせん はるこうの稲光いなびかり 展望台てんぼうだいにあなたと二人ふたり
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煌々こうこう黄色きいろるは月灯つきあかり 波打なみうぎわ縁取ふちどほたる
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ぎわきみとも一度会いちどあえたならおもめぐらせほほべにさす
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まだすこつなぐにはずかしいれるはきみとわたしの小指こゆび
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年明けのムードも最早もはや薄れゆき そろそろエンジンかけよと急かす
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泣くことが女々しい?ならば俺が泣く えんえんえーん 恐れ入ったか
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寝ていても変わらず動く外の街一緒に夢を見ればいいのに
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言の刃全部私の方を向くから私の心は磁石なんだ
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耳鳴りは加齢ですから治らぬと淋しいなあと母は言った
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雨降りの五月の夜は冷え冷えとそこはかとなく虫が泣いてる
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うつ伏せになってスマホをいじっては休みを満喫している今日
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ぞうぞうと騒ぐ緑は神楽鈴てるてる坊主は山を眼差し
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なんですか? 仕方ないなあ 光あれ 興味ないだろ? そんなもんだろ?
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人が背を丸めて咽ぶさまに似て森の波打つ雨の乱数
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指だけがいつもセピアを奏でるのピアノは斧でずたずたにした
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オニユリのコサージュをして街へ出る誰も心臓撃ち抜かないで
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うずまきのキャンディーかじる白い歯はいつか入れ歯になるのだろうか
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難波江の蘆のかりねの夢のあと天を摩す墓碑ひしめき立つも
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「ほしくない?」少女が指をひっかけるビーチサンダル海ははるかに
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いつの世もやる方のない牡たちは「しょうがないにゃあ……いいよ」をさがす
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すこんすとん気持ちもよく腑に落ちたので あいつおどれは勝手に滅びるが
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ことばなどおぼえなければよかつたな薔薇咲きほこる庭にたたずむ
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