しづき(失言工房)    フォロー 9 フォロワー 6 投稿数 29

ふだんは詩を書いています。短歌はまるで初心者です。

ぞうぞうと騒ぐ緑は神楽鈴てるてる坊主は山を眼差し 

人が背を丸めて咽ぶさまに似て森の波打つ雨の乱数 

夜に身を沈めてもなお透明の夜を飾れる田中の鉄塔 

厚ぼったい闇を染ませた雲裂けて銀で仕上げた月までの距離 

ひきこもり慣れた道のみ往く日頃たまの遠出の緑に夏知る 

事故渋滞好奇と鬱憤込めた目が一時遅らす速度回復 

ググったら配置心得知った気が夜に仰げば星座の巨大 

降り積もる皿の吸殻その屈折事の重複時の重複 

宛もなくくものまにまに剛毛をせわしくうごかすアスピディスカ 

無人島白く染めた肉は去り草原に見つける井戸と墓とを 

鳴きなれぬウグイスを録る亡き父の藪割く足も残すボイレコ 

便箋の折目ひらいて芳香は遠い人へと方位を示す 

陽の叩くいえない思いで駐車場記憶にのみ打つ柱時計 

期待はずれの雪道をキタキツネ沈んだ地表置き去りの生 

冬に生き春を知らずに死ぬ日々を今日限りと断つ春へと疾走はしる 

遅咲きといっても雨のち芽吹くなら鮮血に咲く青春は青春 

死ぬ日へとし殺してきたたなごころ家出少女の遅咲きの青春 

殺されるよろこび知っているからね君の罵倒に愛されていた 

冬日さす窓の内の温暖に煙草の青い煙の靡く 

だれしらぬ風のみなもと吹き来てし花葉ゆらせる百四十文字ももよそもじ 

赤黄灯の隣り合わせに孤立する高速道路朝もやの街灯 

唐衣隠れ家出でて空梅雨のさびしき芝ふむ浜までの道 

うす絹が肌を撫でる冬の雨 首をすくめて長靴を履く 

まだ慣れぬこころ七五に織る技術こころ ならべつ削りつ入れ替えつしつ 

目をみはる星をゆびさしあおぐ空 幾光年の君のまなざし 

古書店のパラフィン越しに読む題字 日没そとは冬曇りの月 

足の悪い人馴れしたるハクセキレイ食を目当てに昼のコンビニ 

忘られた言葉は君の声をして冬曇りの下を帰ってくる 

今日の血を片付けつつ聞く豚の声あす屠られる月夜のしずかに