雨雲に かわず蛙鳴く頃 去る君に 吾が手触れらることぞなかりき
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われひとり身を刺す北風止められぬただ共に在る違わぬ約束
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山々の生み出すものも人間がつくる文化も美しあの町
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ようやっとが手に得たと誇らしげページをめくる雨降りの午後
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老体の 桑の木抜かれ 露地ものに かつての殖産 過去の遺物に
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寒さから解放される一瞬に今がチャンスとストレッチから
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帰路を行く視界いっぱいマジックアワー「あと少し」励ますような宵の明星
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扉閉じ  密かにもゆる  夜の折  火照る体感  肌に伝わる
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商店街週末催事準備に追われる肉屋朝早くから
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われ好物君が準備本当は君の誕生日の夜なのに
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似てますか「短歌」と「お通じ」 今日もまた泰山鳴(迷)動たいざんめいどう鼠は出でず
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おばあちゃんその米かついで帰るんか 曲がった腰に秘めたるパワー
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冬なのに色合いそろわぬほうき草難儀でしたな去年こぞも今年も
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煙突の屹立してる工場街広がっていく見渡すかぎり
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朝帰りしたとて家で寝る時間なぞ無いわけで 飯、風呂、電車
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「帰ろうか? それじゃ会計」 「あっ、ダメだ」 残り3分 乗れない終電
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「とうちゃこ」もう聞けぬ寂しさじわじわと 今やっと知るモテ男の訳
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馬鹿げてるこの自転車を追いかけてわたし目指して走るのキミは
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西向きに走る電車に乗る時は日光を避け座席を選ぶ
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樹々きぎたちは 猛々たけだけし夏 乗り越えて ありがたきかな 見事な紅葉
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衣料品売り場は四季を諦めた夏は二つに分かれて五季へ
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思ひ出を記憶のフォルダ格納す開けたら溢るうたはタイトル
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失せ物は探さないとき見つかつて玩具の箱にイヌのくつした
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里芋を冷蔵保存で駄目にした知己に余りの里芋持ってく
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マイナ迷走2年根深い不信にはデジタル弱者置き去りにして
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一度も値上げしていませんという店はいいねあの娘のようにべっぴん
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歳の瀬の 国会中継 いき苦し 鮮やかがすぎる ポインセチア
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かわいいとかっこいいとをかき混ぜて出来てるものに僕はなりたい
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このドアを明けたら何が見えるかを生きて他人に語れませんよ
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いぬとねこ どっちがかしこいろんそう論争よ そんなの争いはいらぬ どっちもかわいい🐶🐱
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