女王のようにアゲハが巡ってる花壇で花は気をつけしてる
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しあわせを見つけるために探してた原っぱにあったよつ葉クローバー
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原っぱシロツメクサかんむりを夢中で編み完成した日
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憧れの白神山地手つかずのブナ原生林夢かなえ歩く
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自己主張それは打たれる杭である汽水域に棲む小魚になれ
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人体機関へ昏き淵あり鐡芯の骨組みきウェヌスは婦人
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生温い風がだんだん強くなる あらしに備えてアイスなど買ふ
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黄金比律に六弁花百合の落雁はかわきをり 誰そこぬも
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0は1へ球体は立体となりぬ人体迷宮幾何学の大理石
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戸を開ける、それだけの行為が難しい。ここから出れば外敵ばかり。
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パンをちぎる ように私に 微笑むの そうよ私は パブロフの犬
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だとしても 私は城を 造れます あなたが投げた 「批判」のレンガで
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お母様 今日だけ胸を 貸してくれ いや全然 泣いてないけど
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「ごめんなさい」 そう言ってくれる 君だから 私はあなたを 好きになったの
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びいどろのガラスの 靴は私に 小さくて あなたは私の 王子じゃなかった
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運命の 人は私では ありません いいえ私は 泣いていません
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左下を丸めた手書きの「2」の文字が読めないらしいファミレスバイト
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それはそれアルアルだとは思うけどテレビのリモコン エアコン消せぬ
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季節って それぞれ匂いがあること 初めて知ったこの歳になり
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膝が痛み和式トイレはもはや無理やっとしゃがんで立ち上がれない
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オヤジ臭漂う中の紅一点 満席の昼 頬張る牛丼
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迷走す野分からの予告かぜ 青空のもと樹々きぎを揺らして
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最強は二歳の孫のおねだりかばあばの理性今日も飛んでく
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涼しげな 器のような 昼の月 空にはすでに 秋の食卓
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夏休み最後の朝にごそごそと潜り込んできた父の布団に
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簡単に「休め」と言うはたやすいが腹くくるまで七年要す
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二学期を迎えられずに亡くなりしニュースだけでも十人以上
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宿題をやったけれども忘れたと言い訳するも知恵のひとつか
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顔も手も汚さずご飯食べれるね三歳は少しだけおねえさん
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顔中に米粒付けた一歳児スプーン練習真っ最中の
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