空野航
0
1
投稿数
24
古い町午前六時の鐘を聞く窓の外では雪がしんしん
11
その人の暮らしを感じるのはトイレの小窓に並べた芯を見る時
10
靴下を左足から履く癖は魔法使いに成れるのだとか
10
曇り空のような男はカラフルな本の地層に骨をうずめた
6
もしぼくが本であるなら無料のブックカバーを掛けるような
4
雪を踏む足跡はぼくの形だけきみの重さじゃ残らないから
10
手も足もないが私一筋の道をえが描くよ蛇行しながら
11
6.1インチの向こうも同じ地球ほし今日は今年最後の満月
8
手に取った絵本の包装紙を選ぶ贈る当ても無いのだけれど
7
泣きながら褒められている子の横で何も言わず抜かれる親知らず
10
「隠れんぼするぞ」と弟呼ぶ声が不意に立ち行く日曜の書店
8
この傷があるから車庫に入れたままサイドミラーに熊の噛み跡
11
山奥の熊の巣穴か海底の鍾乳洞かこのさびた部屋
6
撮るたびに「遺影にいいね」と言うきみの遺影選びは大変だった
12
この胸に中途半端に温もりを与えたのだから責任を取れ
9
ボロボロなきみが欲しいのはかっこいい服穴あき破れたダメージデニム
6
白い息吐いて遊んだ通学路雪の前線がもうその山まで
12
鍵を開け初恋が来る夢を見た来るはずもないこの1Rに
4
花曇り隣の辞書にマーカーを隙じゃなくて鋤でもなくて
7
隕石であした地球が滅ぶともキャッチボールの音は聞こえる
6
ずいぶんと遠くまで来た目の前のビールグラスの泡は消えて
6
自分しか知らない自分を自分から間引いた検索履歴をきみに
7
真夜中のベンチに座って被りたい花びら溜めたグレーのフード
6
輪郭がぼやけた部屋の真ん中で愛が生まれる場所を想う
10