耳許に 風鈴の音 チリリンと 熱帯夜ねったいや倦みて 空は朝焼け
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誰からか優しさを期待するよりも もっと自分を好きになりたい
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今日からはお米探しはしないのにやだやだ早めに目が覚めており
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やっとこさ軽い米びつ重くして肩の荷下ろせばキシキシという
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傘閉じて入道雲が過ぎてゆく胸中の子ら追いかけていく
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やれ凌げ傘服麦わら盾として天の熱槍暑気の大戦
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自転車で熱唱していた女子高生 すれ違うとき風を感じた
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玉子焼き端っこ摘まむ朝ごはん弁当持ちの学童おわる
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いつまでも若い気がする盲信に疑問符ひとつ付けた森高(千里)
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白い壁に 見える来月の家計難 歯磨きはいつもオート操縦
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猫様をいつかお迎えするならば潔癖症の改善必須!
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まつ毛上げ気分も上がった日であれど誰も気付かず何も変わらず
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灰色の空引っ掻いた白色の直線が黒い地面を濡らし広がり
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沓脱に跳ねるしずくが足に飛び雨戸立てゆく縁側の雨
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君恋し、想いは乱れ夢花火 逢いたき願い、今宵叶わず
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通勤の改札出れば天気雨 夏の終わりの香りが満ちて
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ほろ酔いに五句のグラスは小さくて溢れる泡に消えていく泡
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傷ついた羽を休める止まり木としての有給休暇申請/題『傷』
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新しいサンダルに合うペディキュアを塗って私の夏が始まる/題『新』
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コーヒーの苦みも甘みもどーでもいい君が隣にもういないなら/題『コーヒー』
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ちま猫は あさからぼーるで さっかーだ ひとつどこかに かくしちゃったの
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悪態をついて発散してるよでチクチクするのは私のハート
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案じらる 今日のお天気いかがかな カーテンの裏のチビ猫に問ふ
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しとしとと 降る雨音に 生きづらさを 生く吾子をただ いだきたし
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見上げれば窓辺まばゆく彩るは ちょこんと座る純白の被毛
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台風は 夏の終わりを 告げたるか されど酷暑は 未だ終わらじ
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インバウンドの突飛な露出に鼻白む やはりあなたは異国のひとじゃの
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15分ぽっちの空いてる時間でも 刺し子チクチク心整う
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歌詠みの時間ときは無音のリビングで 雨だれの音静かに響き
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「ここは歩道だぞっ」と自転車に怒鳴りつけたこと二度ある俺 小さ
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