君を見るなんでもないなんでもないけど世界のすべてをぶつけてみる
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抱きしめる二度寝しに来る吾子の肩師走の朝に命が二つ
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期待して計画立てるそれがひとりきりでもいいもん、に慣れました/希望と悲哀
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また明日遊ぼうねって今日の日の終わりを惜しみ吾子とつなぐ手
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タヌ猫は 療法食デビューとなりました まだ生きておくれ 母と寄り添い
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星空にいつかの夜を探してもとなりにあなたがいないなら駄目
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32聞いて驚く長男きみ年齢とし それ以上に驚く自分の年齢とし/長男誕生日に
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風は止み空から舞い散る初雪を君に知らせる冬の愉しみ
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地面にうつる自分の影にがんばったね忘年会の帰り道
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年金の支給日なればタクシーを呼ぶにも電話がつながらぬ嗚呼
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蟹鍋のしめの雑炊かき集め腹におさめて折り合いつける
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そのままで そのままにして あるがまま 自然体で 自分を生きる
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大人になれば王子様が現れるんだって思ってた、いまでもしんじてるちょっとだけね
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はあ一週間頑張った自分大好き、すき、すきやき食べたい
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低温は少しの雪も解かさずに嵩は増し来るすべてを覆い
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湯たんぽに 似た温もりの きみを抱き いい夢見たい 願いを込める
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親子丼 好きな三つ葉をマシマシで頬張る幸せ香りもごちそう
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黒歴詩なくしてしまえすり減らすゴム 爪が白んで寄っちゃった皺
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つらみと入れたくて怨みと入力されるiPhone 冷える夜中
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今さらに断捨離しかないランドセル 三十年が昨日のようで
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年忘れ無言で蟹食む吾の盃に熱燗だまって夫は注ぎぬ
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水滴が肌を撫でてひんやりとあてたタオルの熱さを探す
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灰色の水の中から浮き上がるやはり酸素が恋しいようだ
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納戸には 昔のままのランドセル 背負わせてみたい三十の息子
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ごま塩あたまグレイヘア天頂薄さを隠すにはスキンヘッドに勝るものなし(すみませんが男の特権)
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アレクサとタイムトリップする夕べ ポールモーリア部屋に満ちゆく
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マフラーからはみ出た耳たぶの林檎色きみがかわいく色付く季節
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少々の雪など花と見紛おうて分厚い生地の俺のダッフル
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小さなミス、貯めるだけの臓器、僕にもあれば。すぐ要検診か。
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染めるとか染めないとかで悩めるか嗚呼贅沢な悩み事也
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