芳醇や玉ねぎ焦がすバターの 宅地の路にお裾分けかな
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準備をし音楽に乗って安楽へさあ飛び立とう大きな空へ
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寂しさを誰かのパパが作ってるシュークリームで埋めてから寝る
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つたなくも うたに乗せたる 我が想ひ 天まで届け 祈りと共に
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肺雑のラ音の先に私いや貴方が私を通して聴く
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果てしなく 続く廊下が怖かった なにも知らない幼きわたし
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嫌だとは 自分のために言わないで 被害者づらで着せる罪状
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この夜を溶かしたインク詰め込んで手紙を書くよ彼岸の君へ
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おもひては 千重ちへくに差しめど むすべぬことを知りて差し
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堂々と している恋も 日陰のも 短歌にすると 同じ恋愛
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いつもなら 一人で歩く この道で 隣に君が 歩く幸せ
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熱もなく電話待ってる駐車場 いつまで続くリモート診断
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「大丈夫 一緒に行って あげるから」 ほんとは僕が守りたいのに
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「この赤とひと休みしよ」囁いたあなたの首、もう日に焼けている
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「もう青に追いつけないね」信号に微笑むきみへ夏風よ吹け
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ODもリストカットも世間での「自分らしさ」の輪には入れず
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信号をきちんと守る人だからぼくの一部をきみに委ねた
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この命期限の切符が切られたら 私は迷わず貴方あなたを探す
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どんよりと こころの如き おぼろ雲 出番を待つは 初夏の青空
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とどまらず 前腕すべる 洗面水 物質もわれも 時間の関数
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人間、 飼い猫を愛で 虫を殺す 関係性だと 正当化して
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起きぬれば 雨のそほ降りしめやかに 紫陽花あぢさゐに舞へかたつむり
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タンタンと 君へ近づく この電車 心ざわめく 「降りてしまいたい・・・」
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須磨すまの浦 網引あびきす海士あま朝日あさひなす まぐはしさま身過みすぎなりせば
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たまにはね 感覚センサー オフにする でないと情報過多になるから
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「信用に関わる」と「心に余裕を」が相反する上司の言葉
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子も巣立ち幼き日々を懐かしむ 息子3人よく育てたな
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携帯やパソコン、ポケベルなくっても あの夏の恋は本物だった
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算数はふいに役立つときがあるバランスボールふくらます午後
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棚を開け 要るもの一つ 取るるたび すわ、オヤツか?と ねこと目が合ふ
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