いにしえの 京の都に 思い馳せ 雲ひとつない 東寺に参る
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ねこからの あいのふかさを はかれるよ スリスリ ずつき ゴロゴロ ついてく
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木犀の香り今年も漂って案外僕らは幼いままで
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イヤホンは壊れていても透明の歌を奏でて 通学電車
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「捨てられぬ」つまと「捨てたい」わたしとの攻防戦となる衣替え
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黄昏の川面を撫ぜる秋風が染みるか 鷺は首をすくめて
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君が今本を開いたお返しに僕はイヤホンをつけてみたよ
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夜長には味噌鍋燗酒〆うどん これぞ此世の渡り方なり
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夏服を見せたかったな大好きな 夏が私に背中を向けた
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思ふことさはにあれども言ひかねつ 他人ひとの気色を伺ふ卑怯さ
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雨の日は客少ない無人ジム普段人気のマシン独占
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愛してる何度言えども儚くて掴めない君何処へ逃げ去る
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音たてず檸檬れもんの砂が落ち行くに似たりと思う娑婆の明け暮れ
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あの夏は恋にするには痛すぎる ぜんぶ燃やし尽くしてほしい
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4時の別れ話が終わったら 最後のツイスターゲーム、いざ
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雨上がり眼鏡を通し見えたのは円の光が鏤む世界
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辛いのは きっと今だけ 寝て起きて 仕事して、また 寝たらおしまい
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シャンパンをかけ合う歓喜の仲間らにロサンゼルスの月もほろ酔い
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曲がり角を素通りし辿り着く姉の家 生き方にも多様性
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幸せに酔いしれている 金木犀の香りに包まれてるみたい
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先頭車両より綺麗な景色を見ることになるだろう 天国
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振り向けば後ろの席に君がいていつでも話せることが仕合せしあわせ
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細々とした感情を書き留めて 歌にするのはとても楽しい
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辞書曰く死罪を逃れた手枷の象形文字を名に冠す我
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寒いねと些細な事でも言えるほど貴方の近くに立ってみたくて
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心臓が静かに暴れるこんなに貴方の声が聞きたくなって
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自覚とは こうも苦しいものなのか 壊れてしまいたいと思うほど
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心ゆく 行方も知らぬ ふるさとの 古きは西木 愛は知らねど
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もう二度と 私に優しくしないでね 無駄な期待はしたくないんだ
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寒いだけで貴女と組んだ腕の間のあのぬくもりを思い出すのだ
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