馬車に乗り 私の元まで 来た春よ 触れるとすぐに 去ってしまうね
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ゆれる花 ふと思い出す 君の顔 視界を奪う 似たもの同士
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飲み口に 付いた紅色 どうしても 拭き去ることの できぬ弱さよ
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知る人も 知らぬ人をも 惹きつける あなたはまるで 宝石のよう
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歌う人 リズム取る人 走る人 朝のホームの 音楽家たち
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老い友と噂の店のロボットに「早くとってニャ!」猫に急かされ
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鶯に時鳥ほととぎすなくコジユケイも春は足ばや花々唄ふ
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黒い肌 残る白墨 思い出よ きれいなあなたに 想う寂しさ
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冬空の 中を揺らめく 電線に 寒くはないかと 一人呟く
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イヤホンの 先だけ落ちた 階段を 降りる人の目 皆深い穴
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夕暮れに水撒きおれば鳥の声微かにとどく時鳥ほととぎすなく
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逢いたいと その一言が 言えぬまま 再び落ちた 憎き椿よ
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窓がらす 狭き教室 飛び出して 僕の心も 共に遠くへ
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乗客はぼくだけになり地下鉄はさらに地下へと答えをさがしに.
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善きものの そが善きことを認むれば その善き故を良く知らしめよ
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やって来た息苦しさで目が覚める 季節の変わり目という魔物
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窓を開け 吸い込む空気 冷たさが 朝陽にとけて 春を呼び込む
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心とはどんな形をしてるでしょう 目に見えないが大事な相棒
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アレルギー体質と今 判っても 我がは家族 マスク越しでも
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顔の傷 とはプライドか 生傷か 絆創膏を 買いなと云われ
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春陽あび冠雪とけし庭木らは冬眠から既に目覚めたるらむ
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百円のプランターに浸かってる豆苗あなたの成長を待つ
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目覚むれば弥生の朔日ついたち朝日射す裏のやぶより初音のとどく
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母遠く在りし日を知る梅の木や切られ砂利庭 残り香もなく
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足早に逃げゆく二月もう見へぬ山色変えしおぼろの春は
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生き方の 処方箋など ないのだし 考え過ぎず 生きよう弥生
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行く春や 梅の枝先羽やすめ 留まるはヒヨドリ何をか謳う 
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まだ寒い外の空気を入れてみる春の気配がそこに居ぬかと
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春告げる八甲田山のふきのとう地面を飾る黄緑眩し
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人に追いかけらる夢誰かより長く生きるの楽ではないな
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