「生きているだけでいい」って言う人が詐欺の容疑で起訴された朝
7
絲杉いとすぎのある麥畑むぎばたけ 歲星さいせいのおもてあらはしまのやうなり
2
マスク越しなのかシールド越しなのか君との関係少し距離ある
21
「梅雨明けです」 鶴の一声 雲たちが 退場すれば 空は真夏に
9
機械語と 高級言語の(あいだにある) 中間言語 みたいなものを えーあい創るらしい
6
AIは 確率論的 真理表 発見してから 自我いたる(少年のように)
5
傷口にあなたのくちが触れるとき血は体液のひとつと思う
6
木の間吹く風も涼しき夕闇に蛍飛び交ふせせらぎの里
4
フリージャズ 自由の音楽 求めしに 今この時に やりたいことやれ
4
元妻に 送られ着いた 新居にて カーテン付けて 新たな道を
4
梅雨明けた! さぁゴーヤーが安くなる チャンプル・おひたし 夏バテ備えむ
9
遠い日の 青くて冷たい 空の向こう いつでもそこに 君はたたずむ
2
永遠を 確信したか 空の青 雨雲かかり 一瞬にグレー
6
西の方 生駒山が霞んだら 雨降るサイン そういうのが好き
8
ささやかな神殿となるキッチンで母はひとりの神職となる
8
すうっと吹きさあっと降って煮詰まった街をさらりと冷ましておくれ
12
お天気も 季節も歴史も 感情も ベランダの窓が フレームになる
10
物忘れ進みし祖母はまさに今この瞬間ときだけを生きて新鮮
16
昨晩の 雨と雷 アスファルトの 熱持ち去りしか たんぽぽの笑み
5
ゴクゴクと 水を美味そうに ちま猫が じつはコップで 飲んでいるなり
8
シャンプーを ジャンプーと打つ 母ライン ぴょんぴょんぴょーんと スタンプ返す
12
西瓜に塩 少々かけて いと甘し 先人の知恵 対比効果よ
4
真っ白な 浄土のような台所。 タカラスタンダード 生きるため食べる
12
みんな死ぬ死ぬがせいぜいとりどりの死まで生きよと願う教室
4
水筒に半分ほどの麦茶入れ終業式の朝は快晴
11
徒然の日々を繋いで線にして重ね描きする淡い自画像
6
今光る 遥か昔の 斑鳩で 和を目指しゆく 太子の願い
4
水になれ 今も聞こえる リーの声 険しき道も 胸張り進め
2
それぞれが好みの方へ顔を向けオオウバユリの気高さ薫る
13
高原たかはらの いささ小笹をざさ夏蟲なつむしの 色をまとひて鳴く鳥は 小璢璃こるりにやあらむ らうらうじこゑ
2