おのれすら 愛せないのにこれ以上 ひとのことなどとてもじゃないが
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しんどいと言えた分だけえらいよと言ってくれる君今どこにいる
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もやもやとした気持ちを抱えるとなかなか可視化がうまくいかない
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儚さの笑顔の裏にうっすらとどこか哀しい涙を浮かべる
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私より先に死ぬなと言い聞かせ私が先とあなたが微笑む
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金銀杏きんいちょうなぜ銀と書く逆さまの水を噴き出し永世護持す
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湯葉のこう卵とからめほかほかと銀杏いちょうに映えるクリーム色
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本山の明るい灯火いつまでも世のなか安穏仏法ひろまれ
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いつの日か歌集作るべく書き溜めて編んだら是非とも贈ってみたい
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詠んだ歌読ませてみればにこにこと笑顔の君に似合う歌を
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地球儀を画面の上でぐるぐると回して夜明けを待つ夜更けかな
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夏告げる花が咲く頃月山がっさんをあなたと越えて生まれ変わろうか
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現実と幻想世界のトンネルはイヤホンプラグで開通する
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修学旅行 深夜の飛行機隣どうし あの子は私を好きだったらしい
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なんとなく気分が高揚してしまう カラオケ屋さんの「夜フリー」の文字
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カラオケで卒業ソングを熱唱し 過去を思い出し泣きそうになる
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鴨川のほとりにアベック座りける あれはほんとに等間隔ね
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「顔の見え方への強いこだわり」という晴眼者たちの障害
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空がとても美しかったりする時は事故に遭いやすいので気をつけて
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寂しいと言える相手はそうおらず いまこの部屋で死んでもいいと
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誰かの一番になったことのない僕の心に満ちる海水
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段々と 離れ離れに なる線は もう交差しない 人生のよう
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「制約は想像力を強化する。聖典でよく自慰をしていた。」
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猫カフェで エサ持たざるには 猫は来ぬ 私もそんな生き方 一度はしたい
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京都にて夜の街を闊歩せり 四条通や六角通
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何もかも全部が嫌になったのでポンデリングを バ ラ バ ラ にする
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きみの目に僕は映っていないかもしれないけれどきみが好きだよ
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指先が熱いのはきっと夏のせい 隣にきみがいるからじゃない
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似てる者同士で傷を舐め合って泥に埋もれて息ができない
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「そんな風には見えないよ」と励まされ自分の歪さを知るランチ
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