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辛いことあつたら母に云つた子の「つらい」は宙に漂つてをり
10
十字架のごとく我らにのしかかる人づてに聞く今の症状
8
午前二時倒れた妻のママ友は妻とランチでチョコミント喰ひ
5
平凡な五人家族のしあわせを瓦解させうる血栓一つ
12
母ゐなく子は眠れたか妻の友脳梗塞の土砂ぶりの朝
12
彼のこと引きずる君は見たくない 俺じゃだめかと言えたらいいのに
8
長袖に
温
(
ぬく
)
き茶を持ち雨の中今夜の豆腐あんかけにしよう
24
嬉々として 雨どいの水 傘に受け 道のり遠し 雨降りの朝
19
どうやって電子レンジと冷蔵庫無くて暮らしていたかと思う
17
理由など何もないただ今日は気が向かないそれだけと猫が言う
27
石鹸を小さな手ごと泡立てる 粘土クレヨン泥にスライム
9
雨予報
外
(
はず
)
れ降る
陽
(
ひ
)
に鳴く鳥と皐月終はりの朝風惜しむ
28
我が家の玄関に巣を作り初むツバメのありて思案にくるる
12
鶯の声を聞く朝曇天の空に轟音ヘリコプターの
8
筋通す 自己満足のお節介 嫌われようが、子らのためなら
17
正義
(
ヒーロー
)
に成るつもりなどもうとうない 俺の
悪
(
せいぎ
)
を貫くだけよ
11
朝凪に 鳥らの声しか 聞こえない 世界にただ 一人の私
38
やさしくて人間嫌いのかみさまは人魚に足を与えてうばう
10
大好きな あの町に行く その度に また好きになる 心は不思議
29
使われた後の食器は醜いと思う私は何に使われたのか
5
梅雨前の天ひさかたの笑み見せて 浮かれし風の薫り過ぎゆく
18
儚
(
はかな
)
くも枯れゆく
躑躅
(
ツツジ
)
労いの眼差し送る 「また来年」と
29
母への愛 溢れてベッドの端なれば 気をつけ姿勢に 腕や足乗せ
6
五月末まさかの氷雨におどろいて
鯔
(
ぼら
)
がぴょんと跳ぶなり
21
「勝手に来てお茶飲んでるのぬらりひょん?」「いいえ隣のボケ爺さんです」
13
女房に「私は女中?」と問われたら 「私は下男?」と問い返してやろう
15
夏前を忘れぬための一呼吸 あの世みたいに美しい朝
14
記念日に 渡せる時を 願いつつ 2ヶ月遅れの 桃の紅茶
14
病にてつぼみのままに枯れるなか童の顔の泰山木咲く
30
来る夏の 明るい時間 灯台に 今は嵐の 波を渡ろう
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