強風で 窓がきしみて 三度吠え 度目待てども 愛犬あのこは去れり
18
ワセリンの量の少なき百均のハンドクリーム繰り返し塗る
15
くりかえし口にふくんで確かめて こんなに短い詩である私を
7
ほらねみんながこわがっておうちにかくれたから空だけがほえている
4
近ごろはテレビラジオの挨拶でよろしくお願いしますが流行りはやり
8
色(物質)のみを空というのは切取りで 受想行識(精神)も亦た空(五蘊皆空)
7
反芻を嫌って切った誘蛾灯丸く収まる朝日は気体
4
「水樹奈々 大河ドラマに初出演」! ゴキゲンでシチューの大根刻む
12
春嵐 晴天にわかにかき曇り ねこたち べっどで ひっつきまくり(寒い)
18
十六夜いざよいの 空を見上げて 見つけたる 満月三つ 乱れし視覚
17
川向う 合鴨逢い引き 春日和 連れ合いふたり 何処までも行け
12
ゆく春にとどまる人にたまさかにめぐりあひしをいのちといふか
7
したり顔 色即是空を唱えても 空即是色を誰が知るやら
5
スーパーで買ったハクサイざく切りが納得いかず包丁入れる
6
この世には意味などないと思えども ホントにないか? ホントにないか?
6
昨日採って おひたしにしたハコベラが 今日また同じくらい伸びてる
5
チューリップ黄色の蕾が見えてきた コートは要るけど近付いている
6
各局のおいしいとこだけ盛り付ける占いビュッフェがわたしのスタイル
4
寝ぐせとは 髪が芯から若いから 寝ぐせもないし髪の毛もない
5
年老いて 好きや嫌いが多くなり 一人暮らしを続けるだろう
5
コーヒーではなく珈琲の男、バラではなく薔薇の女、昭和は遠くなりにけり
4
じゃないほうの国に満月がのぼるときじゃないじゃないほうの国になる
7
明け方の俄雨にわかあめ ふと目が醒めて 夢から醒めて 消ゆる面影
18
春の味 ツクシが少し薄味だ たぶん私の味覚が老いた
7
チビ猫は さむかったらし 一晩中 腕枕にて暖をとってた
18
オフロにて Adoちゃん「唱」を口ずさむ ラップのとこが心もとない
13
夜を泳ぐ魚にはなれないけど私の中で海は脈打つ
8
苛立てる妻の我が身に覚えなし 夜来の風雨 ツツジの落花
11
「いるだけで安心される先輩ひとになれ」やめてよそんな、遺言みたいに
7
清らかな川に積もりしチリ見つめ 濁っておりとあさましきこと
8