ひかりさえ届かぬ場所へ落ちてゆく満たされぬまま死はゆるやかに
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朝ぼらけ社をまもる狛犬が左右から問うお前は誰か
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スーパーの店先小さな燕の巣『見守ってね』の張り紙嬉しく
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昨日まで空白く染む花びらが散る地瀝青、つま先で踏む
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花びらの舞う 通勤路 歩を運びながら 感謝す 長き開花に
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窓際にひだまりがあり教室のひだまりたちが占拠している
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これからの話をしよう肉体が朽ちたそのまた先の話を
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聞こえないふりをしてます聞かされてない先週の飲み会のはなし
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春雷が最終ホールにとどろいてカップインした音を打ち消し
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入院した病院前を通過して一緒に入院した人とゴルフ
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こころから貴方のことに惚れましたそれは嘘ではないけどあすは
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すまほスマホより ちま猫ちゃんを みてちょうだい おひざにデーン ナデナデきぼう
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朝食後 原宿の街ながめつつ ベランダで飲む 淹れたてコーヒー(憧れ)
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蝶番 僕直すから開けてみる? 君次第だよここから先は
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もうぼくはゆめみることもゆるされず ちなみだのんではやくしにたい
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だしぬけに黄色く染まる春の空 軒下借りて夕立しのぐ
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水槽のガラス越しには想いビト 煮ても焼いても食えぬがコイよ
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石ころを拾ったつもりだったのに抜け落ちた羽をみせてこないで
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ほんとうは 詠めないんだよ 短歌なんて  ただあのひとに  なりたいだけで
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ほんとうの別れはきっと「忘却」だ覚えてる限りずうっと一緒
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億劫の底の方には臆病が根を張っているもやもやの淵
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畝の溝ねこのあしあと蜘蛛の糸さくら集め大会開催
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アキハバラ観光客の多くはアニメの店を探しがち
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とつくには  地図の上では 3cm  決して行けない 距離ではないけど
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母のためならば 苦手な電話できた 冷や汗かきつつ ちょい達成感>郵便局と薬局に電話
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ユリ持ちて 月命日に 逢ひに来た 妻の墓石に 花吹雪舞ふ
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春が来た その喜びを叫ぶため 桜は咲くし ボラは跳ねる
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最近はどうしてなのか何回も書いた文章直してばかり
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初蝶の舞う 朝の庭 花々に話しかける 祖母と幼き
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きみの手でぼくの心は開かれていま陽の当たる場所で干される
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