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釜揚げの ぷっとふくれた蛍烏賊 噛みはじけるは
深海
(
みうみ
)
の香り(改)
9
ぬか床が人肌ほどに温もりて 季節の進む兆しを
掌
(
て
)
で知る
29
剪定の難を逃れた山吹が枝垂れて咲くや蘇鉄の葉陰
22
ヒトは所詮
地球
(
ほし
)
に居座る間借り者桜の舞わない
都会
(
まち
)
の片隅
4
山里に 待ちに待った春到来 ウメモモ サクラ スイセン レンギョウ
19
冷蔵庫、中は何にもありません!私の人生と同じね! ため息
4
ひらひらり散り行く花に何思う 青空ぽつんと雲ひとついて
15
木瓜
(
ぼけ
)
の花
紅差
(
べにさ
)
し花嫁 おちょぼ口 門出の春に 芝桜の路
19
集荷など待ちつつ スイートサクラティー もう散り際か 桜のじゅうたん
17
(母の)好きそうな ババロアにレアチーズケーキ レターパックに詰めまくり送る
15
錠剤の瓶はカラカラもう鳴らない 天井から降る星が綺麗だな
2
涼しきや 新芽が層を成す時分 半袖は未だ 箪笥に籠る
11
そこだけの空も空気も静止して満開桜はしんと華やぐ
27
なぜこんなに春先の昼間うとうととするのが気持ちよいのだろうか
10
きみとぼく下校イベひとつ起きやしない運命力の初期ステが低い
2
微笑んだ写真の祖母のくちびると似る
吾
(
あ
)
鏡の前で微笑み
14
おとなりはカレー 思考を放棄して一日遅れで追ってく献立
8
みんなには「おふくろ」というのがいるらしい そう気が付いた小五の放課
5
賞味期限
今日
(
けふ
)
まで 肉球ましゅまろを ブランチに足し はむはむと食む
16
チビ猫や この白い粉は ビオフェルミン(猫用)「
たうりん
(
タウリン
)
」入りよ よけずにたべてね
16
出会いはきっと偶然 別れさえ必然だった、そう願いたい
9
フォーク持つあなたの指の白魚の記憶たどれば遠い夏の日
11
嬉しいが断られるとほっとするなんとも微妙な孫のお誘い
8
懐にとびこんでゆく剣道もわりと近間で勝負をしてた
4
先生と母親だけでことは済み子ども見まもる手もちぶさたで
10
新職場 図らず出会った先輩と 気持ちの距離が近くなったり
18
エアコンも ストーブも使わず快適に こんな日が長く続けばいいのに
18
願わくは十年
後
(
のち
)
のその
桜
(
はな
)
も今の
桜
(
はな
)
とぞ想わん
妻
(
きみ
)
と
19
つい夢中そして
後
(
あと
)
に来るまたやった
根
(
こん
)
を詰めずにぼやっと行くべし
17
パン、トマト、チーズ並べて新しい4月の朝は異国の如く
37
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