人生は 走り出したら 止まらない 燃料付きて 死に絶えるまで
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年金や 再就職に 心配し 老後は来ない いつも現役
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言葉なら 世界の果てまで 行ってQ 怠け者には ピッタリサイズ
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現実は 上手いかない ことばかり そうでもないと 今では思う
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現実は 殺し合ったり 酷いこと 洒落にならない 恥ずかしいこと
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戦争に 負けたんだよと アメリカを 恨んでみても 原爆2発
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終戦日 元気な母も 九十五 会っておいてと 妹が言う
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朱き陽のなほ夕焼けであるやうにたゞ戦災のしづまるを乞ふ
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きのゑに天高く衝く声のして今夏も蔦の帳ひらけり
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つれづれに福袋など眺め居り チーズかスコーン 義母と分けたし
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台風は関西縦断 雨嵐 開いているのはファミマぐらいで
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お新香とご飯があればと母と祖母お米の味にこだわる父と
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ザリガニは駄目だと祖母は言ったのにこっそり食べたと叔父の戦争
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夏の夜に 窓から薫る 水の香に もうすぐ秋と 知らせる天使
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深い意味を込めないのか込められないのか薄口醤油で巻き寿司を食う
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カスタードは苦手なの、と言う母の お気に入りプリンはロイヤルカスタード
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生まれ変わり信じてみたいときもある ちま猫ちゃんの甘えっぷりよ
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猫だらけの夢を見てハッと目覚めたり もしや長女猫あのこもお盆で帰ったか
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戦闘機 飛んだ昭和と 同じ空 心騒ぎて見る 高き夏雲
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人類が 飛び道具など 発明し 種族を守る 殺戮始まる
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顔知らぬ 伯父は武蔵に乗りて散る 今頃 母と逢うているか
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鬼どもはお盆休みに大釜で沸かした風呂で「ゴクラクゴクラク…」
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雨蛙夫は身を、変え訪ね来し初盆の朝しその葉の上
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終戦の日を 知らぬと言った 義弟おとうとに ただ驚いた 三十年前
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凄まじき 速さで流る 低層の 雲美しく 飽かず眺める
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つり気味の あなたの好きなアイドルの 目尻をきっと睨んでみせる
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黒髪の子が好みだという癖に わたしには茶が似合うというのね
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戦争を知らぬ世代も敗戦を負うとう不思議 終戦記念日
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帰り際またねを二度も言うあれはあなたの祈りだったのですね
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核・平和・戦争・命考える七十八年経った終戦
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