我が隣 共に夕焼け 見上げれば 消え行く赤に 待てと求める
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知り合いと 思った時の あっ、て顔 違った時の あの恥ずかしさ
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嫉妬心溢れし思いを語る友そう言われしがなんともできぬ
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飲み屋街裏通り抜け居酒屋に昨日の仕事のミスを忘れに
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薄氷張る公園の水飲み場周りは雪にウズもれており
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またフラれ泣き顔見せる弟に姉ちゃんはもう言うことなどない
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クリスマスツリーの飾り作ったとクラスの話題話す娘は
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茶碗蒸し銀杏が乗り箸つまむ玉子の味が口に広がる
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老いた母もう何もかも懐かしく笑みをこぼして語らう茶の間
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ようやくに帰ってきたのは父の顔単身赴任の疲れも見せず
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堪らないその静けさがなんとなく図書館帰りの二人の影と
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戦場のメリークリスマスを弾く人の背中にあの日の面影を見る
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相対の 個々まで暮れば 奏ぜする いつもこの日に 弱っていたかな
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一言のごめんなさいが言えぬまま 親とは違う土を踏む日々
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別れ際初めて知った寂しさはもう振り向かぬ背中のせいか
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新しい毛布は君の暖かさもう少しだけ生きようと思う
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一日も貴方なしでは駄目なのに気長に待つとかできると思う?
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ふと知りしブラウザの名の‘エピファニー’が老いのあたまにきらめき刺さる
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ペカペカと ひかるフワ犬目で追って 帰りたいな ぽてぽて歩む
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タラちゃんのモノマネしたら大爆笑 君サザエさん見たことないのに
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いつまでもその中にいて 変わらずにいて 私のアイドル
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ガジュマルを 特等席に 招き入れ 冬の陽差しを キジムナーに
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割り箸を煮込んだものがメンマだと 言ってた君が今や父親
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いつの日かとびにとられたコロッケよ二人笑って見上げた空よ
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冷凍の今川焼を二袋今日買ってきていつ迄もつのか
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乾燥帰りの毛布道端で死んだ子猫の体温憶う
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惜しみなく巨大ボトルの化粧水朝の肌へとひたひたに
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揺れているコインランドリー洗濯物違うな俺が震えていた
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真冬日の続くさ中の紙面にはこともなさげに灯油値上げと
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深淵に佇む友へ 最期までこの手を離さないでいてくれ
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