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客のなき 応接間では 開かれた 楽譜とピアノが 弾く者を待つ
9
玄関に 掛かるウミガメ ガラスの目 故郷の海と 砂恋しがる
9
めづらしきもの見る心地すなる朝 街や人やら早起きにして
10
方言を 知らぬ子どもに 民謡の 「
弥勒世
(
みろくよ
)
が
来
(
く
)
」は ミルクをゆがく
5
梅雨入りのニュースを聞きて空眺む 何故か心も雨模様へと
17
赤ちゃんは 黒目しかない 目で笑う そうだこの目は 子犬と同じ
9
野分け去りまたの
朝
(
あした
)
の静けさに厚雲仰ぐ紫陽花の色
27
大フィルのラフマニノフを導きて 七十八の尾高が躍動
16
待ち望む 菜園潤す台風の 連れ来る雨は恵みとなりぬ
21
「おやすみ」と嘘ついた後、遠回りしてから食べるとんこつラーメン
8
姉
(
ねえ
)
ちゃんは しっかり者だ 前に立ち わたし
一寸
(
ちょっと
)
横を
掠
(
かす
)
めり
13
さよならを 言える時まで 遣り合いて 俗世を巡る 最期の時まで
12
練るほどに白濁増せし水飴は心と似れど食めば癒せり
22
手招きの猫のチャー君愛しきの胸の写真の幸は褪せぬぞ
16
奇を衒ふ 君のジョークに 吹きだして 昨日のことなど つゆと消へたり
7
母さんのデイサービスの送迎車待つ間に切った伸びた
筍
(
たけのこ
)
/道にかぶさる
20
父親と 街でたまたま すれ違う 親父の連れから お金をもらう
3
猫砂を蹴散らすように床に置く新聞包周り搔く猫/
襁褓
(
おしめ
)
15
子作りを お金に還す 識者おり 国の手先か ◦◦学者 ??
9
人一人短長あれど道行けば重き映画の一本残る
16
夜も更けて 蛙の声が 満ち満ちる 深夜ラジオの 中高時代
13
「終わりだ」
あの御方の居ない世界
(
世界もどき
)
に用は無い
現世よ、たった一つの生命如きに見放される気分はどうだ?
(
であればさっさと首落とすのみ
)
3
そう言えば 一貫性は 無かったな 服も言葉も 好きな男も
5
風の音だけが音楽風景の映画を見れる自転車旅へ
16
自転車は 風の音と去る 景色見て 褒美に笑う 心が主役
16
竿も乗せ深山の川の魚釣る自転車旅で子となれ我よ
14
歌詠みの道辺に探す萌ゆ花へ恋を抱きて慕ふ君かな
15
手に持った半額のコロッケの栄養と混じるようにおやすみを告げるラジオ
5
コケました 二十歳前にて 人生に 「死」を隣にし 親看取れるか
11
壁当ても 「フォークボール」も さらさらと 半世紀前 吾の日課で
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