寒空に 畑に何を する人ぞ 声もかけたく なるのも道理
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望むほど 挫折がきつく なるのなら 望まないほど 消えてゆくから
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ゴミ出しを 頼まれたから あと少し パソコン叩く 老後の景色
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いいことは いつも続くと 限らない 何も望まぬ それもつまらぬ
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吐く息が 臭いと言われ 絶句する マスク美人の 横行する世
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三寒の あとに四温が 来ないから 梅のつぼみと 春待ちの朝
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まっすぐにまばらに雪は降りてくる風無く曇り積雪わずか
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熱心に壁際を見るいぬの目がゆっくり動きわたしと重なる
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フリル、リボン、レースにバラの髪飾り 全部憧れだけで留めた
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朝の空静かに浮かぶ半月に 我の心と重ね見上げる
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パソコンとOSにさへ「相性」があるとふ説に首ひねりをり
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薄紅の王女のごとき富士の山魅せられし君癌の貴公子
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ママ祈る おやすみ前の読み聞かせ 図鑑じゃなくて絵本であれと
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どれにしよ 辛い・生もの・添加物 君のいない日 ママの楽しみ
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山あひに 群生むれに咲くカタクリの 恥じらふ様に姿美し 
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春待ちて春告鳥は歌ひ出す 人や野遊び花便り待ち
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説明を しようとするが 考えを 伝えることは いつでもがた
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真夜中のインターネットを海として クラゲになったつもりで泳ぐ
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恋なんて枯れてしまえよチョコレート郵便受けに突っ込んだ馬鹿
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罪もなくつらくて苦しい境遇に落とされた子の笑顔尊し
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四十路とは疲れが喉と内臓にやってくるのね二つ学んだ/生き方の工夫
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病院のベッド点滴見上げる天井なんで涙がでるのかな
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花束を拾い差し出すあなたの手なくてももう霧中を歩ける
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バス停に並び見上げる冬の星まばたく度に広がる宇宙
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飽かず降る雪の着地は風まかせ友を待つ間のフロントガラス
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土脉潤起つちのしょううるおいおこると云うけれど関東平野に春時雨無し/七十二節気より
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今日から明日へ、そして昨日に 日々の揺らぎ、時の戯れ
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猫ならば許されるだろう 君の側でずっと寄り添い眠っていたい
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まだよくは分かっていない二歳児の息子よもうすぐ兄ちゃんになる
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シクシクと「寂しい」なんて泣く長女 三歳はまた姉さんになる
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