高い背と 大きなシャツが 帆に見えて 汚れた靴は 錨に見えた
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暗がりの隙間風に預けた背中木々に囁く熱い滞留
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髪切られ幼子泣いてる美容室 そんな時代が君にもあったね
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気の置けぬ 友と語らひ 大笑い 四十年の 時を経てなお
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人間が ロボットダンス するように AIのマネ するようになる
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菓子を詠む歌がたくさん目について明日の散歩が目指すはカルディ
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ホチキスで頭皮縫う音聞いている肝がすわった独居老人
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精霊が嘘や葛藤見透かして見つめおりたる恥じる私を
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ちゃっかりと我の布団に潜り込む幼な子ふたりの温さ恋しや
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道化師と透明人間 両方を演じてしまうあなたの素顔
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月光に 今宵こよいのオリオン 席ゆずる 今年最後の 明日は満月
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開けちゃダメです御守りは アプリもね開き過ぎると運が逃げます
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豆苗の切り揃えたりし平面にひょろり一本の芽の立つを見ゆ
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白い部屋、カーテンの隙から入る弱い光は、僕を追い込む
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キレイだね 瑞々しくて 白い肌 嬉々としながら 大根選び
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きれいだね、なにもない君の胸のうち。まきあがる砂、感情のなみ。
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お土産の バームクーヘン まじまじと 眺めいただく 甘い年輪
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学年が上がればリズム早くなり英語の歌は聞き取りづらく
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ブカブカの園服を着た年少のはにかんでゐる君と目が合ふ
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マスクして時間ずらしてコロナ禍を思い出させる発表会の園
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冬夜道とうやみち やけに綺麗な 月明かり 綺麗ですねと 言ってみたくて
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すすき揺れ 車道の傍ら すすき揺れ 月が恋しと すすき揺れ
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寒いのが 嫌なんだなと 思われる のが嫌なので コートは着ない
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雪轍地上絵足場 枯尾花 枝葉墨色 黄色が動く
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純粋なあなたの強い正義感一目惚れした夜があゝ最後
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吹く風の 寒さばかりに 気を取られ しぼむ心を 照らす冴え月
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顔を上げればどの人もつがいだな素直に羨ましいなと思う
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俺の持ついくつもの意外性を君だけに知ってもらいたいと思う
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意外にも俺はいろんなものごとに興味を持つし習いすらする
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意外にも俺は休日の朝に起き電車に乗って出かけたりもする
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