卵もね値上がりしちゃってごめんなさい八百屋の奥さん悪くないけど
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八人の会議一つで一人日 それだけの価値ある沈黙か?
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分き下る漫ろな水の行く道をおもんみるやは其もまた川
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揺蕩える酔夢の中の影法師 回路の君がそっと袖振る
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おの が心叩いてそれきり目をあけぬ友 ふしあわせゆえ
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綺麗とか可愛いとかと関わらぬ 老婆に早く我はなりたし
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闇の中 ここで会ったが 百年目 今積年の 恨みを晴らす
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無気力は病なのだと言い聞かすいつか治ると信じたいこそ
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少し鬱 かもしれんニッポンは コメのねだんの下がらぬうちは
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この場所でこの人たちといる事が 幸せだよとパンジーは咲き
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「ごめん忘れた」5回目では失くしてた おばあちゃんにもらったペン
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あなたと話す夢を見て もう少し そばに行けばと後悔の朝
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山賤やまがつの垣根に咲ける卯の花をち縫はぬきぬさらすかと見る
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額縁のうちにひとつの世界あり河のむこうに山とまた雲
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サブスクの動画みたいに十秒間戻して欲しい今の言葉を
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飴玉を散歩途中に舐めるのを塩分補給のやつにかえたよ
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真夜中の動物園に星はふりキリンの夢はカムチャッカの子
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雨上がり 川の両岸一面に 活き活きと咲く 野の花愛らし
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いまどきはアルバムそこらに売ってない 撮りためた写真の整理をしたく
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ずっと前から咲き続けている花春をこえ夏すらもこえるか
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間引きたる みかんの枝の 花つぼみ 香り惜しみて 写真に供え
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花言葉「追想の愛」咲き乱れ 放棄畑に 春紫苑ハルジオン 揺る
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死ぬ前のラスト5秒のカウントがあの子の声とかだったらアツい
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月なんか見上げなかった あなたさえきれいだねってつぶやかなければ
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地下鉄の窓を 鏡の代わりとす 降車前か 襟を直す乗客ひと
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忘れたいこと忘れたくないことの合い挽きをつなぐ粉々の感情
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野を駆ける子らよ如何いかんぞ笑わんや午睡の頃の春空の下
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半世紀 君の色彩道標 暗闇の中 脳裏に訊ねる/迷子
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僕の胸 君が空から降ってきて 穴を空けられ死ぬのが理想
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泡沫の二度目の邂逅 君の目が 僕を認めて言葉失う
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