マップから マンションと君 マーク消す 歩が止まる 永訣の朝
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たそがれが 街ごと二人 かげにして そのまま君を 見失ってく
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恥ずべきは昨日までの過ちでなく明日に望んで押し出す今日だ
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悪を悪正義を正義と謳う間に明ける年あり喰らう空あり
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予想超え勝利夢呼ぶ磨かれた魔球目にして感服の夏
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向こう側見えるくらいに透明な君を消さないために生きてる
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この場所にすべての歌を置き去りにしてさよならの向こう側へと
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満たされぬ心に気づいて明ける新年とし 知らない街を旅してみよう
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少しだけ居心地悪い義実家も年賀の味と交わす盃
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垢すりでゴシゴシ擦(す)られ疲労までも洗い流された
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十五年経て年末帰省実現すキャリアブレイクの成す二人旅
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富士の峰ダイヤモンドと重なりて今年の幸を願いに込める
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初詣子宝御利益ある神社独女ひとりで気まずい参拝/実家に一番近い神社なので
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ひび割れた夜中に飲んだハルシオンあれはきっとポラリスだった
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初詣神より好きな運試し 凶が出るのは報いなのかも
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ばあちゃんの味がでないぞ祝賀メシ 顔もレシピも記憶の彼方に
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庭先で 風に遊ばれ 舞う枯葉 刃物研ぐ手が 赤くひび割れ
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悠悠とクリオネ泳ぐ水槽を見つめる吾子の目はキラキラと
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目的地見えているのに行き着けず急に銭湯現れたりして/初夢
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ぼくがに堅忍不抜の鎮まりをなくして愛は放射出来ない
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早起きをするも午後から眠くなり昼寝始める寝正月なり
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新春の寿ぎをよく伝えてよ 桜が川を彩るように
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鳴り止まぬ電話あふれる患者ひとの波 ぎり始める連休七日目
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作られた生真面目な自分脱ぎ捨てて 雑さも軽さもあなたの魅力よ
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海山の箸を設けて置こうとも我慢できずに自分ので食う
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思春期に近づきつある男孫まご二人敬語ちらほら混じりて寂し
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ワンケー1Kのガラスをたたく絶望が いつか押し入りそうな真夜中
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紅白のなますの酸味落ち着いた三日の朝にやっと食べ切る
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若々しい朝日が生まれる元旦に「今年こそは」と決意新たに
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背伸びしたよそゆきヒール高らかにまだ泣かないで左の小指
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