群青の 夕刻出ゆうこくいずる 三日月は 田舎いなかたみに いやしの光
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街中にモーツァルトを響かせばメンクリ無しに人生けるやも
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きゅきゅらと くりやでおとする みてみれば ネズミほいほい せんかは二匹
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冬立つが 部屋の隅には 扇風機 居心地悪そに 頭をこうべ垂れる
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ひとりとは宇宙のはてに両の手を伸ばせは届くそのことなのだ
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目が覚める朝の部屋は冷たくて揺れるあなたの肩に触れたい
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辻󠄀角に座りてスカートはためかせ寒いと言いし少女ら四人
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何も無い人と伝えず伝われるそんな空気を望まずまといし
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何か書くそぶりを見せる奥様も火宅と消える寂しきひとかも
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我儘な 幸福に縋る わたしとは ここでお別れ だいすきでした
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女子高生 最後の季節 訪れて 蝶々結びで マフラーデビュー
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レストラン誕生者ケーキのろうそく吹き消すお祝いわれ憧れる
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銀の爪プラン変更説明す誇りと矜持きょうじこのに在りて
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朝のおかずはなんでしょか たらこになっとは出るでしょか いつもとかわらぬふりかけじゃ 朝の電車もままならず
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どどいつって何?やってみるのも面白い七七五?
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冬空に そびえる夏の 大三角 「季節外れね」「でも綺麗だね」
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ロースとかハラミではなく上ミノを 取り合っていたあの夜のふたり
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冬立ちて枯れ葉も走る園庭に風の子たちの歓声渡る
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皿のよに 思い受け取る 三日月が 浮かんで笑顔 口元のよで
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「しまった」と思った時はもう遅く口きかぬ日の三日を数ふ
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メガネ無く 何も見えない 大空に 星が綺麗だと 君は呟く
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べにを差した友んで惚気をくり返す コーヒーに溶けた白い小噴火 
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小樽より届きし刺し子楽しみに年に一度のデパート詣で
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冬の夜のカップラーメンの三分は別れ話の間に過ぎゆく
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古い椅子の背もたれに背中こすりつけ痒い所掻く今夜は独り
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受付で診察券が見つからない リュックを逆さに領域展開
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着る服が 一枚増える 秋だから 君の心に 触れづらくなる
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夏は「ふう」で冬は「はあ」なのね、あなたのため息 季節を感じるわ
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ハイティーン 爪が伸びたら切るだけの死にたくなったら死なないだけの
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恨もうか。それとも妬んでみましょうか あなたをぱくんと食べた人たち
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