都市を経し寒村の老婆は慾るCartierの首飾の留石 まで
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身を寄せて 猫はゴロゴロ 聴くほうも 心地き 不思議な喉の音
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自然機械解析の夕きざす葦の茎は死を思はず 言葉
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スーパーに並ぶ豊富な乳製品 ここで暮らしていこうと思う
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文學の空座を英‐翻訳の辞、売文とは善き惡徳の華
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あの頃は 戻らないこと さとに ようやく咲いた 桜も散った
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柔らかな陽差しの中で微睡みの 魔に抗ってる猫パンチ
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人生の出会いと別れのバランスは数ではなくて質量でとれる
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烏玉ぬばたまの黒い炎の行くところ先は見えねど明かりは共に
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握手会開催されてる膝の上 肉球すりすり へいきな ねこよ
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スーパーの米が安いと感じるようなインフレ続けるエグいお言葉
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死んだと思う父に手を合わせる 不倫相手のことを聞けず
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ブーケトスピッチャーMAYUMI その姿バンクシーをも困惑させる
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セール中 思考容量 二割引き そこに並ぶは 私の余り
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今日の天気 晴れのち終わり 傘はもう 必要ないと アナウンスにて
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膝の上 4kgキロちょいのぬくもりを この上もなく愛おしむ晩春はる
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青い空白い雲 翻る洗濯物 涼風吹き込み 生存の許可を得る
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飛ぶよりもなくならないボールがほしい安い黄色を一ダース買ふ
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なんとなし形成した畝に植え 世界に轟く 園芸レベルアップのファンファーレ
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無器用に好きとつたへた言の葉の座礁したままあなたの沖に
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引退の取消しをした歌手がいる 俺も何度か辞めるを止めた
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掻きすぎて何か血的なにおいするもうやめようか乾燥の皮膚
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牛乳のように白くてきれいで純で最初から腐る運命/小説の中の一節
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その色のうつりにけりも愛おしと 貴方が見つめるひとになりたい
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明後日は採血なのでオールフリー 糖質ゼロよ たこ焼き食べても(違)
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オールフリー在庫チラリと確かめる 麻婆豆腐にするや否やと
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中野から乗った特急電車内出会った少女は過去の私か
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咲きかけの桜も二度寝する春の吹雪冷たく車を叩く/今朝の気温零度
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梅咲いて庭の片付けする頃は雨風寒し指の 冷たさ
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刺したトゲ抜く針先見つめ 細目瞬きへの字口/都々逸
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