梅雨空が束の間もどりて 雨模様 気温よりもね 湿度がかなわぬ
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バナナケーキ ラップぴっちり冷蔵庫 レンチン20秒 3日目も美味
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寝入りばな 三十分で起こされて それでも わがら 愛しているよ
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週の明け律儀に梅雨は戻り来てしとしと細く音なく降りけり
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朝イチにお行儀わるい椋鳥は山桃散らす赤い実の泣く
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久々に屋根うち雨が降り出して庭木も人もひと息をつく
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トランプも力で征す爆撃王 微塵も見えぬ異種への敬意
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猛暑日が 連日続く空梅雨の 蝉の鳴かない夏は来たりて 
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寝苦しき熱帯夜の夜 2回起き さっきカモミール こんどコーン茶
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まだ今日を 生きていたくて 流し込む 丑三つ時の ぬるい珈琲
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八切りのスイカビニール袋入り 腕を伸ばして 二人して秤
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夏至が過ぎ 昼が短く 夕暮れが 早まるけれど これからが夏
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一束の愛を飾って眺めてる 揺蕩うだけの浮草のわたしが
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美術館監視員すっと立ち上がり両手を広げオブジェになった
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いつかすべて手放すのに欲張ってしがみつくから念で霞む空
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冬に向け暑気備蓄して夏に向け冷気備蓄でエコ出来ぬのか
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やさしさの 仮面をつけて 偽りの 甘いひととき 空虚残りて
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レンフローの送球集 落ち込んだ時に見るとかなり元気出る
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あのひとに 読まれたくない 聞かせたい 寄るべなき夜を 歌に映して
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想い人 我と話しけり電話にて 幾つも出てくる 我の知らぬ名
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真夏日をひと休みして雨の朝蛞蝓なめくじまでもが勢ぞろいする
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夏空の広がる盆地いち早く薄紫のジャガイモの花
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越南にて届かぬ便りを待つ我を救いせしめん、スピード郵便
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まだヶ月 それなのにもう心の中 君に暴かれ焦る夜かな
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汗をかくグラスの底に溶け残る氷と齢重なって
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木の鳥に名付くことさえままならずまごつく俺を笑うお前よ
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詠み人とバンドマンとはつきあうな きみのこともまた歌になるから
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いつまでもこの関係は続かない 赤い糸はもう私が切ったの
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白球を 真夏の空に 打ち上げた 三年間は 今日で終わった
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安全な 場所で見下ろす 踊り子は 滑稽だった? 仮面の君よ
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