そんなに いっぱい いっぱいかかえこんで しんだら誰が片付けるのさ
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新作のコンビニスイーツ手に持って構えたスマホに写る影ひとつ
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父が煙草をやめた 細く長く生きるらしい そんなまるで線香じゃないか
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去って行くスマホ師匠残された 我ら仲間はアナログおばさん
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異国より来し彼女次のステップへ カタコトの挨拶皆涙する
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お父さんどうしてタバコを吸ってたの寂しいからだった気がする
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垂直に世界は閉じて外からのまれびとは絶え百年が経つ
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この先はただ行き止まりトンネルはつめたい視線だけを飲み込む
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壁のまえに卵を持って立ちすくむぼくは空のむこうを知らない
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大丈夫 絶対絶対 大丈夫 いつの日からか 口癖になり
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Googleを 開けば何でも学ばれる 学び続ける心があれば
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風邪をひくぞう秋雨に濡れているいのち ほらぶるぶると震えて
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他人には触れない自分では閉じないそれでも受けた生に秋雨
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華やかな 祭りの写真の 真ん中に 亡き人の 元気な姿見つけて泣けり
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淋しいと言ってしまえば消えそうな そんな瞳で手招てまねきする彼
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秋の日の 小さな町の文化展 並ぶ作品 児達こらの顔浮かぶ
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「感想文書かせるなよ」と書きたいね思ったままを書いていいなら
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たくさんの犠牲を払って得る平和、これは、正しい平和ではない
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大切よ だから貴方を振り落とし 閻魔とくちづけしなきゃいけない
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戦争が招く憎しみ終わらない、人類歴史の宿命なのか
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生きてればきっといいことあると言うあなた責任取るつもりある?
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感想文書くため読んだ本なんか中身は何も覚えていない
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横になると涙出るから座ってる私は倉庫の眠るマネキン
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寂しげに裸のままで立っている電信柱に北風は吹く
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消えないと思うものから消えてゆき消えて欲しいものばかり残ってる
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「死んで花実が咲くものか」と言うけれど しんどいし だけどおなかは減るし
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「大丈夫?」「だいじょばない」と返したら 少し笑って木陰に見やる
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終わらない 夜をゆく君 一度だけ みた海の色 コバルトブルー
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居間の戸が勝手に開いてキッチの戸もガラリ開け誰か通った
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明るさとふざける事をはき違えた 青春時代の写真は、苦い
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