ひとつづき 詠めたあの日と 身体しんたいに 空白を置く 作歌は続く
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今秋の塩の加減で冬越しの 野沢菜漬けの出来は如何にか
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年末を知らせる店のBGM 去年と同じ音楽と我
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地頭なき田畑に集いし者たちは ずぶりずぶりと足から沼へ
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青色に ラッピングした 恋という 砂糖菓子の溶け 雲のてのひら
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アゲハ蝶 ビオラの花の 蜜吸ひて 西陽に光る 美しき羽
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枯葉落ち 寂しさ匂う 細枝の 先にも光る 上弦の月
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少しだけ 足早になる 帰り道 今年も残り 一ヶ月半
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線路沿ひ 微風そよかぜ揺蕩たゆたススキ 通勤を飽きさせぬ風景
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人波の秋のよそいに巡らせん 思い思いは いろとりどりに
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流れ星見えた瞬間テンパって愛犬の名を3回叫ぶ
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帰宅して扉を閉めて鍵かけて 社会人Aの魔法が解けて
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手を伸ばし白い歯を見せ歩み寄り目の合った熊 1発で仕留む
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五反田の「ブラック企業資料館」の語り部となる この世続けば
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手持ち糸で 花束ブランケット編み 色彩センスの無さに凹んで
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たじろぎぬ若人の死の唐突に二人歩いていつもゆく朝
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踏切に立つ葬儀屋の看板に存在しない意味を見出す
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旅先でいつもの倍も歩こうも飲み食いも倍不健康なり
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愛ゆえに ただ愛ゆえに ひた走る 顔が見たいよ ただそれだけで
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雪女 ペットの名前は窒素ガス あなたが好きなの彼も私も
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青空に映えて紅葉と柿の実がざわざわ揺れる風の冷たさ
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人として 生きる限りは 難儀あり 透明クリアな鎧 常に纏いて
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家も吾も とどまり居れば あちこちに 傷み軋みの 歴史が見えて
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ここよりは先へゆけないこの恋のかけら どこに埋めればいいの
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当日券無いと知りつつ会場に来てみるほどの推しがいた秋
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風もない 小春日和の嬉しさに 矢車草の種をまく午後
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天守から 木曽川眺め 時が過ぎ 携帯アラーム 我にかえって
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スマホてふ諸刃の剣振りたればしのぎにあそぶ日(火)のまた愉し
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アンパンマンの胴体は何なのかについて考える日があっても良い
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ふかし芋もはや多くは口にせずなお父へ湯気届けたくあり
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