おとといのまだほのぬるい湯たんぽをいだいて笑いとぽとぽ流す
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岬より手前で自供したもので エンドロールが草むらで出る
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変わったなサマーフィルムにのれぬ秋クーラー無しで暴動クラブ
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遠い日の安易な恋は奥底で静かに私を締めあげている
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火星への第一歩だと微笑んだ 宇宙の賭けは未来をかけて
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月の民 くわで耕す土はなく 鋭い粒子は電気を帯びて
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星の神 大陸切り分けバラバラに 人は争いパズルを奪い
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友の挙式に秋の雨 深呼吸 「衣服は声を吸う」というので、
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かの青に染まずたたよふしらとりのかなしみをふと見たような気が
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向日葵と胸元開くその先に 君の眼差し高まる鼓動
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棚田跡 雑木の繁る谷となり 自然回帰の早さに慄く
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薄にて溢れる涙絶えぬとも 過ぎ去りし時ただ眠るのみ
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どこまでが昨日でどこが今日なのか 夜闇に溶けた小道を行きつつ
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クレープが焼けぬようにと願うのは まだ二人帰りたくないから
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滑舌がめちゃくちゃ悪いおっさんの「金貸してくれ」だけ聞き取れた
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遺書書いて自殺しようと決めたのに屋上のドア鍵かかってた
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始まりは嘘だったかもしれないがここまでの道のりは真実
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大谷の芸術ごときホームラン響く快音耳に留め置く
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傘の中滲む視界に出た本音雨は優しくかき消してゆく
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一日は君がいないとはじまらない心肺停止の片耳イヤホン
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あの日さえ離れてくれぬこの思い抱えて歩く枯野の草を
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中3の夏に立ち寄る図書室の唐詩選から大河が流れ
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こともなく行く日の暮れの窓外を音無く過ぎる赤い閃光
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灼かれると知っているのか?夕暮れの蛍光灯に飛び込む虫よ
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茜色外骨格の君を焼き外を剥き取り本質を得る
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生き急ぐ心に拍車をかけにけり金銀木犀今年も香る
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水は嫌、餌も要らぬと吠え続け 焼き芋だけはモリモリ食べた /今週の愛犬「好物」
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ぬばたまのぬばとはなにぞ コンビニでパン買う黒人よ教えてくれ
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日曜の夜の憂鬱は歳経ても サラリーマンの持病であるよ
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唇に甘しクリーム 笑う母 糖尿だけど 今日は誕生日
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