無骨な手  形の良い耳  丸いケツ  背中のくぼみ、 貴方が好きだ
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冷蔵庫 ドアポケットに 貯まってく あなたに貰った 飲み物たちよ
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密室劇。誰が争ひ誰が撃たれたかなきがらの兵卒三つほどかさなりぬ
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諦めたあの日に捨てた志 メルカリとかで売れないもんか
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民族的忘却の末四月尽のハロウィン。ヴァルプルギスが衣装ぺらぺらの化学繊維の合皮
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湿気た朝に饐えたゴミ袋が固まって 天に召されるのを待っている
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「いただきます」 そこに命が 在ったから 形式的な せめてもの義理
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垢抜けた 彼女に少し 嫉妬して 憧れの服 買えないままだ
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夕暮れの 橙色が 霞む頃 君の「またね」に 愛槌をうつ
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のどいたい さむけもしてる かったるい にがつにかった かっこんとう効け
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こうじつは なんでもいいの じんせいに あんなひこんなひ おもいできざむ /こころのあるばむ
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九時ニュース キー局 国営 なんかより ひるのワイドが ふかくて多様
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満月の見下ろす夜更け 足元を走るネズミを眺める男
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皿の上載せた哀れな醤油味の魚の目玉を舌で転がす
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まあ結局、知らない人だ。墓石に薄く残った祖父の祖父など。
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三日ならさまになるけど当日の記憶も保たず日記は買わぬ
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カレンダー数年おんなじ猫がいた今年の百均新猫登場
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注射した腕ではなくて指のほうぴりぴり痛む抗議のように
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猫はみな喋りたそうに振り返る私の心見透かすように
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iPhoneがFor Youと押しつけてくる幸せだった頃の僕たち
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ハロウィンの 次はクリスマス 除夜の鐘に 初詣の国 節操のなさ
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ハロウィンに浮かれる輩わが国の新嘗祭で感謝を示そ
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君想ひ 眠れぬ夜に 恋を詠む 心騒いで さらに眠れず
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大半を離れて暮らす母娘なり親となりて五十年目が迫りくる
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十六夜の月に寄り添う木星のような十六のころの初恋
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ハロウィンも何でもいいよ楽しんで今年の今日はもうこないから
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街中をウロウロ歩くだけならば 家でパーティしてろと息子
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バースデイ・ニューイヤーしかなかったが 「ハッピーハロウィン🎃」初めてラインす
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ハロウィンの 菓子求むる 者見れば 亡者か魔女か それとも小童ガキ
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唐茄子が 灯籠となる ハロウィンか ケルトの晦日 未だ馴染めぬ
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