草原を見て美しいと思うように草も渋谷を美しいと思う
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風に乗りベランダ届く秋らしさ 金木犀もくせいの香と運動会の音
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胸傷み横臥にうつ伏せ仰向けと一睡もならず朝陽射し来る
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控え目な銀木犀に気が付いたきっと毎年咲いていたのに
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未練とね 感謝の気持ちともに詰め 区切りをつけた 無名の祝い
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ぼっちでも そうゆう人生ひびと 思ってた 「仮面」外した ひとは君だけ
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検査終え診察室へやに 入れば即オペと救急対応ストレッチャー
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トンネルを1つ抜けるたび空暗く 雨の舞鶴 何食べれるかな
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健気にも働き詰めの心臓は八十年経て悲鳴を上げる
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血管の手当てが終り深呼吸ひさかた振りの空気のうまさ
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こんなにも痛みながらも心臓はまだ働くもう休めありがとう
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モルダーに 「誰も信じるな」云われてた 心ゆるして 裏切られたよ
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母当てし襁褓むつきは知らず入院に若い看護師のむつきの世話に
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病院は上げ膳据え膳厠まで美人の看護師付き添ひくれる
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朝顔が 今頃に咲く 夏庭の 色枯れるごと 秋は深まり
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散歩道 歩けば香る金木犀 君と歩く 安らぎの時間
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リハビリに五百メートルただ歩く心電図付け負荷を見んとて
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秋風に 吹かれ散り行く 緑葉の 姿見るや 冬来る知らせ
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すれ違うニットに残るたたみ皺 濃い赤ブラウン秋ここに来る
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つま先が意識せずとも向かう先 あなたの元へ 駆けてゆけたら
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バス揺られ 加茂クラゲ求めてぼっち旅 気楽に気ままビールがお供
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文化祭 のびゆく歌声 空高く 在りし日の君 浮かんでは消え 
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仲間との朝餉楽しむ窓に沿う紅葉初める木木に雨ふる
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地上にて名を負う星になったので君は空へはゆけなかったね
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どうしてもほどけやしないからみあう電気コードは わたしにダブル
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秋桜の最後の一枚朽ちるとき 私も一緒に消えてしまいたい
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白鳥の群がり居れるふるさとの田畑たはた懐かし瀬戸内の秋
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日常に日々精進し意気消沈 綴る言葉は意思表示かな
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ねこたちに起こされずとも 習慣にて 夜中に目が覚めてしまふ ねこ母
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訪いし北欧カフェは母の希望 リピすると言ふ 頼もしきかな
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