スーパーの 硝子の僕は 泣いていた。 泣いてなどない 僕を無視して。
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僕の足に まだ影はじっとついてくる 透明な翼は見えない
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同じ事繰り返してる日々だけど それってとても幸せなんだね
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水彩のパレット開けば春の色 心躍らせる花のささやき
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あいまいに顔は笑みつつマグダラのマリア血潮の匂う戦場いくさば
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この夏も暑くなるとか予報出てはずれてくれとただ祈るのみ
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モノクロの景色のなかに君がいて世界は色を取り戻せそう
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大丈夫、言葉の代わりに金継ぎの器をそっと差し出す友よ
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新しくできたダイソー覗いても吾が欲する物は欠品
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三歳の娘が泣いたそんな夜お手々をぎゅっと繋いで寝よう
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もらったが正直いらぬカレンダー押し付け合えば年の瀬家族
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八朔や甘夏柑の二個パックいつも一つは味がイマイチ
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桃の風吹き抜け揺れる黒髪とほほ笑むあなたがわたしの春
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親知らず違和感あるとき ガシガシと みがきがちだが やさしくみがけ
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長靴を「但馬ブーツ」と呼ぶらしい 兵庫・但馬の雪の季節に
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自転車を 漕ぐのをやめて タバコ吸い また漕ぎ出した 殿方を見た
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お日様の温もり嬉し通勤路 鳥の囀り朗らかなりて
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なぞったらきっと血が出ることだろうおまえの胸に咲くカンパニュラ
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肩並べ 日増し離れる 距離の分 伺う視線 日ごと増しけり
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寒いのか花粉なのかどっちかにして欲しいと去年も言ったかも
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サンルーフ加々美くん家の車にはあるのにどうしてうちにはないの
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人間は おかしな道に 迷い込み 罪に穢れて 身を細らせる
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警告で 目が覚めること 多いから 素直になって 悔い改めて
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満開に 梅の花咲く 春の庭 疲れ忘れて 心浮き立つ
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きみ渡るその瞬間も一緒です私がいるわ変わることなく
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冬のおり 御霊みたまとらはる父母ふぼしあれば われ置きりてゆけ花の風
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特売日 五歳のわたしの夢のためセボンスターをプレゼントする
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壁穴で赤い風船持つきみもようやく見たね満天の星
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夕焼けの斜め右歩くあの子の眼どんな色よりも鮮やかに見えて
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恋をする 鼓動に乱れ 足取りは 気付けば春を 出迎えに行く
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