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傷口が広がらぬよう虹見れば窓の雨滴がゆるり流れて
33
あの砂を集めてつくる砂時計ひっくり返してプレイボール
9
鳩の群れに幼子追はれ泣きにけり親に抱かるる平和公園
18
「この野郎!素人なのに生意気なッ」と妄想交えてシュートを放ち
7
伐られてもなお奪われぬ薔薇色と したたかに在る呼吸の痕跡
8
連なりし丹霞の道を憶えてる 身に抱く目に その色彩に
9
花束をあげたい人がいてそれが恋だと思いませんか
6
愛されたい 愛されたいけどお前じゃない 愛したいけどわたしじゃない、って
5
人生が点AB…と続くとき一瞬重なる点Pだった
6
何もないなんて今もう言わないで 楽しかったよね? 苦しかったよね?
4
思い出と呼べるほどには思い出にならなかったね 空が明らむ
8
「流れ星が落ちるね。寒くなったから」電波の悪い部屋にも 星
6
十光年先の自分からの光あなたの願いは叶っているよ
5
七等星でいいあたしは暗いままきみの伴星として生きたい
5
フロントガラスが曇る 宇宙でもきみとわたしはあたたかいだろう
5
宇宙って言うといつでも夜みたい 地球のどこかはいつでも真昼
7
終わること前提にして共に住み いつか形見となるヒゲ拾う
9
月遅れ 叶わぬ願ひ 書き留めた 七夕の
宙
(
そら
)
揺れる短冊 /田舎の七夕は月遅れ
28
もう少し いい加減でもいいんだよ 息が苦しくなっちゃうからさ
6
職場での 思いを短歌で 浄化して 人間関係 良化中
7
姿勢がいいと褒められたから 帰り道も少し背筋を伸ばす
10
くらげみたいになりたいゆらゆらと波にゆられて流されるまま
7
幾年も昔の今日の
禍
(
わざわい
)
を知ってか知らずか人は争う
10
苦手とは 悪口ささやく背後霊 耳を貸さずに頼ってみよう
6
祈りの日
去年
(
こぞ
)
訪
(
おとな
)
いし広島の街へ川へ思いを馳せる
24
確実に 季節移ろい 秋近し ツクツクボウシ 夕暮れに鳴く
26
想い人 夢と同じく 万華鏡 息吞む目前 溶けるよう
12
八月の百年先の飛行機は高揚だけを抱えて発って
8
帰るのを待っていたかのように雨 泣いていいんだよ一緒に帰ろ
20
何一つ成し遂げぬまま陽が沈み それもいいかと手に取る麦酒
16
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