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色づいて たわわに実りし桃園の 主の翁は心根優し
19
いつだって 君の幸せ 祈っていると 伝える術は 持たないけれど(同人誌「ねこのあしあと」〜子供の体温〜より、八首目)
17
着崩れた浴衣「ほんとに幽霊のようね」聞こえぬように囁く
8
倒木は空を仰いだ おれよりも若いやつらがふさいでた空
8
わかってて選べない道 もういっそこのままここで溺れ死のうか
6
苦しさに負けてすべてを投げ出せばきっと後悔する気がするの
11
耳鳴りは真夜中に降る雨に似て急に孤独を突きつけてくる
12
真夜中に体温をもつ幽霊となってあなたの枕辺に立つ
8
きいきいと音がしている公園にブランコがないときの涼しさ
5
間違いもわからないまま死ぬでしょう 心を毎夜毎夜削って
6
面倒くさい男の意地を出す前に、路上ゲロやめてもらっていいかな
5
東西をみぎひだりって言っている 隣の席にやさしさがある
7
少しだけ背伸びをしたら届くかなあなたのつむじと心の傷
9
投げられた枕でさえも好きな子を言い合うような一日でした
5
駐車場なのだとずっと思ってた 大人はどうも汚いらしい
4
ごめんね、と一緒にタクシー乗ってれば帰って行けたのに前科者
6
あと何回 あさが来たら 泊まれるの 孫のラインに ほほゆるむ我
21
霊園の 丘から見える 朝日浴び 現実世界へ いざ引き返す
23
「1人で帰るからいい」という男、人の欲深さと愚かさを知るがいい
6
会いたいね 夢にでてきた 君想い お墓参り 仕事の前に
20
稲びかりありて雨が降り始め三日後の雷にて止む律儀さよ
9
BRUTUS買うような部屋FENDERが踊らない箪笥日焼けした僕
4
駅が見えたっけかここは回り道独り言だし確信に変わる
5
大谷と同じサイズで飛んでいる僕の友達空を飛んでいる
5
ささくれの砂漠が山に黒くなる黒板の上知識が撫でる
3
いやなやつジャック・ハンマーあれいいやつ?ジャック・ハンマー繊細な肉
3
夕陽色の入道雲を太陽と勘違いして伸びている影
7
立秋や炎夏の午后は中華屋で炒飯食らう君に見惚れる
14
みうらじゅん いとうせいこう もたいまさこ ぐっとくるひと めがねとひらがな
10
軽トラの荷台に立って空を見る在りしクラゲも今ならつかめる
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