人生でいつも他人のたすけあり恩ばかりあり身ずまい正す 

おむつなのねむいのそれともごはんなのわからないけど愛しているわ 

煌々と光るホームのタイル貼り数え 始発を待ちふらふらり 

貴方にはかつての気持ちもう無いと髪を洗つて水は濁つて 

翳る部屋ページをめくりめくるめくめくるめくこの世の旅へいざ 

カリカリと 鳴り響くはずの 大部屋に 聞こえてくるのは ピコンピコーン 

千代田線代々木上原駅行きは今から貴方を火星に運び 

残業し何をする気もおきぬ夜 犬「ねぇねぇねぇ遊ぼうよ!」 

眠れずに輾転反側する夜は祖母の手握る幼児に戻る 

はだ寒い夜の空気の向こう側「また会いましょう」「そうしましょう」 

象は泣く、この俺だって愛したい アイスクリームを分け合いながら 

誰が為の 装い問えば 「彼の為」と 侵す背徳 打ち込む楔 

青草の 撓む戯れ 漣の 返す葉擦れに 夏を思わん 

わが暮らし 空飛ぶ喜劇であつて呉れ せなに水橋春夫のギタア 

誰ですか私の緻密なこの体丹精込めてつくりあげ青く輝く地球ほしに置いたの 

紙の端ぴしゃっと切った指の先 真紅の水が生きた血脈 

ぽろぽろとこぼれた涙は宝石よひとつぶひとつぶ箱に詰めるの 

印刷の活字が愛しい時がある指でつまんで口にいれるの 

風そよぐプラットホームは真空の世界を吸い込む私はどこだ 

湯気の立つ白米真上に生たまご ぷすりと刺して黄金色こがねいろ広げ 

仰向けに寝て仰向けのまま起きる 僕らの身体はかわるのがこわい 

握りしむ稚児ちごの手のひらゆるほどき五指を確認ああ我が子 

神として産まれし のちに歯車として生き 果ては人として死ぬ 

横臥した身体を 縦に裏返し 髪をとかしてその朝を待つ 

夢うつつ 薄目にゆらぐ壁模様 今宵兎かあしたは蛇か 

階段をのぼる先には清い空 偽善も偽悪も必要ないの 

好物はもう味わえぬ 帰り道畑で食べた生ぬるい西瓜 

指先に神経の束 頭頂が緩み私は私を許す 

星を背に始発電車を待っています 応答して ねぇ 応答してよ 

お互いの髪を乾かす火曜夜 明日も明後日も僕らは最強