忙しい一日だった待ちかねた布団の中に昨日の湯たんぽ
35
柴染ふしぞめの瞬き 彼のお母さん おんなじ色のきらめきを見た
5
試験的プラごみ分別始めてもプラごみ袋が生産途中
14
初めてのプラごみ分別回収で大半ゴミはプラだと気付く
25
放課後に語らっていた旧友を蹴落としてぼく 行く 大学へ
10
おびただしい身体を運ぶ鉄塊が安全の象徴である国
5
コンビニの麺の容器は透明に移り変わってレンジは寂しい
4
袋からミックスナッツを皿に出すカシューナッツが多いと幸せ
11
もうずっと言えずにいる「別れましょう」が、眠る君の横で涙になる
6
「引退」と 冗談で言う若者に キレずに破笑わらう オヤジの我慢
24
あんぱんち 勇気百倍 その拳 オレ様の腹 打ち抜いてはひ
5
後ろにも 横にもだれもいなくって 「特等席」は 空いたままだよ
8
「ありがとう 倖せでした」も伝えずに 哀しみ、怒り 濁るおもひで
8
ひと嫌い マスク越しでも笑えない どうせ裏切る 独りでいいよ
6
ユニセフが消える命に餌配る 人道的にゴムでも配れ / 再
4
飲むだけで 病が治る毒じゃなく 無痛で死ねる薬がほしい
7
熊猫が 國に還るの故郷から それなら名など 「天滅」付けろ
4
否定せず アドバイスせず 遮らず 人それぞれと 彷徨うことば
15
自分から遠い歌ほど口ずさむ 空耳に振り返る暇はない
5
スウィングのここが違うと腑に落ちるいつも決まって残り2ホール
6
本当はね 蕎麦よりうどん好きだけど 言っちゃいけない 東京っ子は
10
連ドラを一、二話飛ばして見てるよう 接ぎ穂に惑う孫との会話
12
草むしり汗かく吾を労うは薄紫のじゃがいもの花
13
水吸ひて重く湿った雨後の森 地図と磁石で辿る杣道
20
きまぐれの炭酸入りの甘い酒 5月の風におくびを放つ
13
藤棚のの下 余韻に浸りをり 数多あまた国宝たからに酔いしれし後 /奈良国立博物館『超国宝』
19
車椅子通れぬほどの通路なら「ごめんなさい」はいわなくていい
6
呼吸するたびに増えてく後悔をかさねて築く逆バベルの塔
5
だいぶ前通った内科がつぶれてた俺の頭痛の記録も消えた
7
ベランダのツバメと君が話してる ここにおうちをたててもいいよ
15