短歌では微妙な思いこぎれいに 下世話なことは狂歌にしてね
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貧乏で 腐りかけた食べ物を 漬物と呼びパクパク食べる
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家にいるだけの日にまだ夏と勘違いさせるような色の空
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あの花の花言葉は何調べると 家族愛だとメキシカンセージ
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皿洗いしながら思い当たることわたし男とできないたぶん
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手のひらに収まるほどの液晶が彼に繋がる一つのよすが
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何もかも桃太郎軍に奪われてあわれ鬼さんふんどし一つ
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桃太郎に角を折られた赤鬼が語り部となる平和記念館
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うちの孫きっと未来のスターだぞお遊戯会で鯛役務める
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朝に飲むレトルトの味噌汁の底溶けきってない味噌にいらだち
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峰々の色づく秋はくれなゐに水くくるらむ天の川波
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ベランダに米粒置けば食べに来る雀のお宿はお寺の竹薮
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素敵だわこのラブホテルここだったら主人と来ても楽しめそうよ
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見慣れない男の靴が玄関にあるのに客はいないと言う妻
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おばあちゃんまたすぐ来てねこの次は絵本じゃなくてゲーム買ってね
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良質な映画のあとは胸躍り描けない絵画さえ浮かびくる
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お互いに 知らない時が 流れてる  そばにいられた これは奇跡ね
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黒髪と つぶらな瞳 イタズラに  止めてと笑う 午後の教室
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秋晴れてどこまでいっても水縹みはなだの空に散りばめたい鱗雲
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手を握り このままずっと 友達で  同じ制服 想いは同じ
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引っ越すの はるか遠くの 知らない町へ  彼女の唐突 思い出したわ
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さめざめと泣く紫陽花の美しさ愛の条件は涙と言える
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自己管理せよと他人が言うことの端的に矛盾ではあるのだが
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我が肩を枕に眠る知らぬひと薄手のシャツに刺さる短髪
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二十二時十八分発千葉行に巣食う座席を狙いしハンター
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何人も逃れられない本がある 「資本論」とはそういう本だ
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不採用だった会社の案内は鍋敷きになる刑に処される
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経済を再生させる大臣が 追い詰められてもはやぎわ
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じゃりじゃりとココアのダマを押しつぶす カップの傷はとけきれぬ愛
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まだ旅の途中なのだと言っていた 涙拭って星を見上げる
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