「手作りのチョコなんてさ」と言うひとの口を塞いだ深夜のカレー
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甘いのは 少し苦手と 言う君に 世界一甘い 私をあげる
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いちご狩り 行けばなんて 言わないで 甘いいちごを 君と食べたい
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雪が裁つ まやかし呑まれそうなきみの名前の補助線たどり
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雪、雪、も傘などささぬ彼の地では 半袖まぶしカーリング女子
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明るくて 天から降る 妖精か 今にも空に 飛び立つように
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天にまだ 空きがあるから 我慢して 欲に塗れて 溺れぬように
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さようなら 先に言っとく 狡いけど 悲しみよりは 苦しみよりは
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現実を 生きる男が 好きなんだ まずは落第 夢追い人は
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触れるほど 近寄りがたし 君の手に 触れたら終わり 夢から醒める
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僕ほどに 君は愛して いないけど 当たり前だよ それでいいんだ
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さよならと 言って別れる その後も 瞼に映る 君を姿を
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躊躇なく今日も眉毛を抜いていくレールからはみ出たのを選んで
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柔らかな布団に包まれ三時間寝れない僕は間違っている
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死んだ目で煙草吸ってた君のこと 懐かしいだけ 懐かしいだけ好きではなくて
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死ぬことは怖いけれども君だけの言葉のナイフに刺されてみたい
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お互いに虚無に呑まれるまでの間を並んで水に垂らす釣り糸
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ほおばった赤いイチゴにキュンとなり薔薇のかおりが不意に喉つく
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あの「けど」のほんとの名前を知りたくて あなたと昔来た歩道橋
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初めての店で頼んだコーヒーが悲しいくらい少しすっぱい
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下駄箱も机の中も探したが市販の愛しか見えないどうも
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言葉など 无ければ嘘も无いのにと思いし濱に、雲丹打ち上がる
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白梅のこずゑのおりに衛られて 見上ぐる月の朧なりけり
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雨のあと、松葉の緋い天鵞絨と玄武の石のチェックなりけり
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梅が苑 あはれ垣根のさざん花は 伸び映ゆるなく花隠しけり
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バオバブが夜霞にたつ。ぬかるんだ春の田園、鉄塔の夢
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二千円くらいで買ったふわふわな無機物たちを抱いて眠った
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あなたとの会話(遺伝子組み換えではない)を信じていたい今日
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コーヒーで温められたコップの体温が水道水で冷える
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なんでみんな短歌を詠むとき 桜は、咲くんじゃなくて散ってるの
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