受話器って どれのことだろ 目が泳ぐ プッシュフォンなど 見たことないか
7
朝刊を待ってて眠れない今日は文芸の日だ載っているかな
5
スマホのデビューしてからずっと音痴だが写真いっぱい撮ってしつこい
4
お湯つかり 温められた しあわせを 抱きしめたまま 眠りの国へ
17
カラオケでマイク離さね演歌歌手またなっている音痴忘れて
2
さよならを言ったからいい友達になったのにまた既読を待つ夜
6
一輪の花の重さが示すのは命の軽さ  献花は続く
8
職員のさじ加減あり疑いも信用もする保護の担当
11
パソコンがあればいいなで進めない生活保護の真実がある
7
貧乏は時を取られる五線譜を足して書いては切り貼りをする
10
眠れない夜も泣かずにベーコンを焼く程度には大人になった
8
常磐じょうばんへ冬の終わりを告げるひと 浦々で笑み溢れゆく梅
11
高層の 灯り流れる 湾岸線 色彩失い 踏むイエローライン
4
花束を飾るにしては不均衡、歌うぐらいが丁度いい
4
さよならは言えず「またね」を餞の言葉に代えさせていただきます
6
雨水うすいとは 二十四節気にじゅうしせっき 今日きょうらしい まなぶきっかけ 短歌さまさま
6
代替の 部品取寄せ 納期未定 きみの仕様と 同等品はなき
3
粉々に 砕けた想いも 時が経ち 綺麗事のみ 残り輪廻す
5
幼子が野菜をける無邪気さで私は社会から弾かれる
7
ナーバスになっているよで 気が晴れず だけども寄せ鍋(〆)ラーメン美味なり
6
道幅を占拠している雪解水 洗車場には順番の列
14
親指で 電子のすべてを デリートしても 脳裏に浮かぶ 微笑み残る
4
お弁当 全品手作り 想い込め 結果「苺が美味しかった」と…笑
17
コンビニの女の子目が綺麗だがマスク取ったらがっかりだろう
4
「家出してやる」と言ったら母さんは「帰りにお酢とお味噌買ってね」
9
色づく花にスマホかざした横顔は期待を込めて腹を切り取る
4
君だけが呼んだあだ名のかたちした穴が残って動けずにいる
8
カモたちの 大群飛び来て空覆う「見て!見て!」と呼ぶ看護師さんを
8
遡り 懐かしむ文 揺らめいて 耳に残るは 亡き母の声
9
見えません 聞こえませんか この声が とうめいにんげん わたし?それとも
6