月の輪が結婚指輪に見えるから夏目漱石の言葉をのんだ
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今日はまばたきで猫に挨拶していたら「むゥん」と返ってきた日
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すみませんそこになければないですね(うつくしい星)(あかるい未来)
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朝焼けは浅い眠りをくり返し栞はさまずページはおどる
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窓開けて猫のはな息ほどの風入れても目には緑あふれて
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目覚めたらねこを百匹抱いていたような湿り気風くれぬ窓
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禍ときづかぬままにあそびけり世界がうみにおほはるるまで
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壊したくない渇望が膨らんでシュークリームを穴から吸った
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上がりまで自分の番だ人生は 家族も他人ひとも盤面は別
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「おはよう」はただのあいさつ それなのになぜこんなにもぬくいのですか
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ねえちゃんと言ってねえちゃんと言ってねえちゃんと言って姉ちゃんと言って
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始まりがあれば終わりもあるものとわかっているがわかりたくない
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標的は私ですからさぁ早く心臓を撃ちぬいてください
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凄腕のスナイパーでもないくせに吾の心臓を貫かないで
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わたくしの睡眠薬はどこですか見つからぬなら君が代わりに
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君が好きと言ってくれた菜の花のからし和えには罪はないはず
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あまりにもピアノの音がやさしくて独りの夜もいいかもしれぬ
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できぬことばかりを数えられている しっかり落とす一日の垢
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ここにこう、こんな形で生まれると誰も選べはしなかった街
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チクチクとてのひら残るイラクサは畑仕事が知らしめる恋
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うそとうそ 絡ませあって 織りあげた 一枚の布が 人生ですか
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人生に意味は無いけどかあさんのカレーライスはとてもおいしい
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モニターで監視されてる感覚で自由に生きると謳う哀れみ
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誰だってむねむねしてるときはある俺のいとこは今やっている
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フロンティア精神っぽいものがある すごく吸い取る掃除機の音
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水道の水痛いほど冷たくて来れない夏を悼んで泣いた
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とどこほる雨雲の帯ながながとわがこころにもなみだふりつつ
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パスコード相違オーバーあと二日にんげんの輪から締め出されます
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「目がきれいだね」と私に言ったけどあなたは心まできれいだね
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抱きしめる抱きしめかえすその時はどうか自分に嘘つかないで
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