グミひとつぷにゅとやわくて窓ガラスにはりついた蛾のお腹を思う
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目を瞑り 歩きて進む 春の浜 永劫の音 寄せる足首
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夏浜に 小麦の軀伸ばしたる 牝鹿のような 濡れ髪の君
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しなやかな 薄暮の葦原立つ伽藍 黒き肋骨 想うかの国
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一目見た白磁の汝の曲線に どくり沸き立つ 冷えた我が内
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畳より 仰ぐ風鈴 知らぬ振り 汗ばむ肢体 歯を立てる汝
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レモンエロウ 冷たく黙る 籠の内 遠き異国の 娘もぐかな
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草いきれ 濡れ髪光る 少年の うなじに匂う 青狼の香
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残照の 沖より吹かん涼風に 友らと歩きて 皆独り知る
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花果は落ち 水底溜まり鮮やかに 甘く腐りぬ 我が骸かな
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腹底の 昏く揺れたる深みにて 冴え渡る青 心の野太刀
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黒黒と 夜嵐の中朽ちて坐す 武骨なりけり 我が羅生門
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どろどろの 熟れた真夏を瓶に詰め 幽かな甘さ 冬に舐め呑む
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怒り顔で 空き缶を潰す ばぁちゃん その破壊力ときたら・・・ まだまだお元気
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産み出さず 死骸を喰らひて生きる 我らと良く似し 銀竜草ギンリョウソウ此処に
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沼の底からのばした手の先で黒いねずみを撫でてた、遠く
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幸福や 希望とかの 実在を 嘯くような もりの木漏日
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この世には混ざり合わないものがある イラガの繭の模様に憂う
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出勤電車 LGBTは 認めよう でも爆音は 認められへんなぁ
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白と黒 対立が生むものもある 繭玉を裂き 目覚めよイラガ
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こころなきやまの風かな吹くからに薔薇の花々雪と散りぬる
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透過する視線の後ろで笑うきみ毛細血管凸レンズ
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なんでやの思うことは多々あるが雨後の晴天に投げて忘れよっ
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片道の切符を胸に強く抱きこのを歩く迷いながらも
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自分だけ何も知らずに生きているそんな毎日だった気がする
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五月雨とぺトリコールと低気圧 独り呟く「夏が近いな。」
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天と地をそっとつないだかすがいは夜の駅舎を浸す雨漏り
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英雄が紡いだ言葉を口癖にしても心に響いてこない
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スパゲッティゆでじるしおぎて 塩辛しおからいねとわらってべる
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エリックと名付なづけたきみ夜光虫やこうちゅう あおかがや世界せかいえる
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