この味がいいねと君が言ったから危うくコーヒー記念日制定
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君が帰りすっからかんのこの部屋に孤独が灯る 日曜の夜
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もういない君の残り香しみついたシーツで今夜を生きてゆきます
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日曜は暮れて寂しさ広がって 家の明かりよ 慰めてくれ
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さっくりと膝を切っても流れ星消えるのを見てから立ち上がる
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まばたきをひとつふたつとするたびに猫の近寄る足音がする
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雨の打つトタン屋根から飛び立てずうずくまってる白鳥しらとり一羽
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夜明け前ひとりで食べるプレッツェル正しい音階で折れていく
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借りたまま返せなかったCDを指にさしてはくるくる回す
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からだという博物館に愛しさが展示されゆく真夜中の海
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口紅も一緒にすするボンゴレの海がほんのり夕陽に染まる
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とんぼには一人称の視点から億千万の太陽がある
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ウインナーコーヒーの上旗さしてまだお子様のアピールをする
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宝箱今日もこっそり開いてはきみのめがねが足りなくて泣く
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いかつめの小指に青い毛糸巻き友だち探しに草むらへ出る
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ミントティー飲んだあとするくちづけできみの虫歯が治るといいね
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冬恋しホットチョコレートに溶けた魔法少女の祈りは破れ
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テンションが上がりまくったその理由わけは君と一緒に散歩したから
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すずやすず風鈴をだまきくりかへしアイスキュロスの韋編たえつつ
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吾妹子よいざ旅に出んめづらしき花々の咲く閑雅のくにへ
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ムルソーのもとには来ずや異邦人救ふといへる万軍の主は
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まぼろしだった朝に抱きしめてくれた人のぬくもりで生きていく
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透明なわたしたちまだ羽ばたかない やさしさばかりが傷つくる夜
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ゆめまるく稚きまでに膝を抱くわが子のようにふるえて眠れ
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シリウスに背を向け僕はここを発つ 明日は一人の春だとしても
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マシュマロをくわえむさぼるくちびるに桜ひとひら吸いこまれてく
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はかなくも滅びにいたる河なれやタイムラインにさくらながるる
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明日など判らぬ者の残骸を踏みつけ歩く長者ども
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さよならもいはずわかれしひと思ふ夢のもつれのはてのあけぼの
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朝早く起きる沢山の人々、東日は君らのためにある
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