恋人の名前を辞書で引いた夜そばに書き足す「少々頑固」
0
はしきやしめぐしと日ごろ撫でし子の花より団子の食べざかりかな
0
世間体といふ縁なきことばあり花散る里の抒情組曲
0
花冷えにつひの桜である如く心細き枝さむけしく揺れ
3
少し遠い桜の名所に向かう箱 平均年齢は僕が下げてる
0
ヤマザキパンの工場の半径1キロ ふんわり香りのバリア
0
雲となり雨となりても逢ふことのかなはぬ恋と悟りぬるかな
0
焼き鮭の上のレモンをよけるとき皿の上には半月昇る
1
友達はすでに友達なんかじゃなかった これが「サヨナラ」ということか
0
進んでも退いても「普通」に殺される どうにか生きていける道がほしい
0
いつの日かぼくも死んだりするんだろう そのとき死因は「普通」だと思う
0
今日もまた「普通」で殴られちゃったんだ 友達だからすっごくつらい
0
久々に心底ほしいと思ったのに本屋には置いてなかった
0
もう会えぬ人が降り立つ駅の名と同じ名の駅ふと立ち寄りぬ
1
約束は藍色なりきさゆりばの知られぬ恋ぞ淵となりぬる
1
子をやどすひとの象形と知りしより身といふ文字をつつしみてかく
0
いつだって探しているの この恋を諦めるための綺麗な建前
1
ミスタイプ繰り返してはカプチーノ何度も空にする溺れたい
0
なめらかなシルクのような人でした、糸を紡いだ誰かは悪魔
0
わたしだけの秘密なんだよ恋人のボクサーパンツがピンクだなんて
0
まつたくのまの字略して発音するやうな人にはなりたくもなく
1
この薔薇の棘はなんだか柔らかい傷つきたくて刺しているのに
0
あさまだきまだあたたかき麺麭を買ふカルチエラタンのしきいしのうへ
0
世のなべてうつろふものはかりそめの比喩にすぎぬとゲーテはいへり
1
こんなにも君が素敵でばかなのをいつか忘れてしまう風の日
2
豊頰をほのかにそめてをとめらのいでたつ野辺にみどりもえいづ
0
人生はソシャゲだと知り目を閉じてリセマラなしの恋人ガチャを
2
きみをみるのがすきでした夕色の来るはずだった明日がほしい
2
天邪鬼として生まれたからには運命にさえ逆らってやるよ
0
時じくの雪ぞふりけるこまとめて袖うちはらふはるのゆふぐれ
2